米キャタピラー、グローバル本社をイリノイ州からテキサス州へ移転

(米国)

シカゴ発

2022年06月28日

米国建設機械大手キャタピラーは6月14日、グローバル本社を現在のイリノイ州ディアフィールドからテキサス州アービングに移転すると発表した。

キャタピラーのジム・アンプレビー会長兼最高経営責任者(CEO)は「移転は、当社の顧客が持続可能でより良い世界を構築することを支援し、利益ある成長を目指すキャタピラーの戦略として最善の方法になると信じている」との声明を出した。

同社によると、この移転でディアフィールド本社に勤務する約230人の従業員の大多数がテキサス州に移る見込みであるものの、イリノイ州全域にある同社の他のオフィスや製造拠点には影響を与えないとしている。また、同州の1万7,000人以上の雇用を維持し、同州はキャタピラーの従業員が全世界で最も多く集まる地域であることに変わりはない、と強調している。

イリノイ州から米国を代表する大企業の移転が相次ぐ

米国大手企業によるイリノイ州から他州への移転事例としては、米国航空機大手のボーイングが2022年5月、同州シカゴからグローバル本社をワシントンDC近郊に移転すると発表(2022年5月9日記事参照)したばかりだ。

こうした事態にイリノイ州共和党は、同州で2022年11月に再選を目指すJ.Bプリツカー知事(民主党)を強く非難している。同州共和党のドン・トレイシー議長は声明で、「今週もまた、プリツカー知事の政策によって、米国を代表する企業が本社をイリノイ州から移転させることになった。近年、イリノイ州から立ち去った何十万人もの個人や家族と同じく、キャタピラーもボーイングと同様にイリノイ州を離れ、税金が安く、成長の機会が多く、犯罪の少ない他州へと移っていく」と述べている。

一方、プリツカー知事は、本発表について「残念だ」とコメントするも、自身の政権が依然として雇用創出に成功している、と強調。「州全体で雇用の成長を推進し続け、イリノイ州が米国で生活、仕事、遊び、ビジネスを行うのに最適な州である理由を世界に対して明らかにしていく」と語った。

(小川ゆめ子)

(米国)

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