第1四半期のGDPは前年同期比7.2%、消費回復が内需を牽引

(チリ)

サンティアゴ発

2022年06月01日

チリ中央銀行の発表(5月18日)によると、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比7.2%だった。GDPは内需の増加によって成長したが、輸出の減少によって一部が相殺されたかたちとなった。新型コロナウイルス禍からの回復で高い成長率を記録した直近の3四半期と比較して、上昇幅は減少した。

GDP成長率を需要項目別にみると、内需は前年同期比13.0%だった(添付資料表1参照)。民間消費は13.9%増、政府消費は9.1%増で、消費の増加は主にレストランやホテル、交通機関、健康分野といったサービスへの支出、衣料や燃料などの非耐久消費財への支出が中心だった。政府消費では主に教育サービスへの支出が増加した。

総固定資本形成は前年同期比8.8%増で、設備投資で産業用のトラックや牽引車などへの投資が増加し、前年同期比15.2%増だった。建設・その他の投資は4.9%増で、主に住宅建設の増加が影響している。

財・サービスの輸出入では、輸出が1.4%減、輸入が17.5%増だった。輸出は主に銅と果物の輸出減を受けたもので、輸入の増加は産業用機械やトラック、燃料、衣類や履物の輸入増による。

経済活動別にみると、全体の成長率への寄与率が高かったのは個人サービス(寄与率:26.5%)、企業サービス(18.4%)、運輸(17.6%)の順となった(添付資料表2参照)。個人サービスは、公的教育と民間医療サービスの増加によるもので、企業サービスは、コンサルティングや広告などの専門的な活動の増加による。運輸は、陸上・航空輸送がともに前年同期比で増加しており、特に航空輸送は新型コロナ禍の規制が緩和されたことで、国内外いずれのルートでも回復が見られた。

一方で、鉱業は、干ばつによって利用可能な水が減少していることや、操業上の問題、主要鉱山での鉱石の品質低下を原因とした銅の採掘減によって、前年同期比4.0%減となった。

中銀は3月に発表した金融政策報告書で、2022年通年のGDP成長率は1.0~2.0%のプラス成長になるとの予想を発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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