「高圧ガス安全管理法」施行規則を改正、水素ステーションの安全管理を強化
(韓国)
ソウル発
2022年06月08日
韓国の産業通商資源部は6月2日、国内で普及が進む水素ステーションの安全管理を強化するため、高圧ガス安全管理法施行規則を改正、同日から施行すると発表した。主な改正点は以下のとおり。
1.立地環境を考慮した安全体制の確立
現行の水素ステーションは、周囲の人口密度などステーションの立地環境を考慮せず、一律の安全基準(注1)に基づく立地だったが、個別の実情(注2)を踏まえた安全管理体制に改正する。被害発生時の影響範囲、周囲の人口密度、人命被害発生確率を評価し、特に人命被害の発生確率が国際基準を超える場合、安全対策の強化や設備の配置変更を可能とする安全確保体制に変更する。
2.水素ステーションに特化した教育の実施
水素ステーションは一般的な高圧ガス施設と違い、超高圧の配管が設置されているにもかかわらず、配管施工に特化した教育がなかったが、配管施工の品質向上のため、施工に関する教育と水素ステーションに特化した安全管理者の教育を新設する。
3.水素ステーション内の保護施設の設置
水素ステーション内の事務室や付帯設備などの施設は距離確保や防護壁の設置義務の対象外だったが、これを改正し、ステーション外の保護施設と同様、従業員の事務室、付帯施設なども水素施設から30メートル以内にある場合は、水素設備の周りに防護壁を設置するよう義務付ける。
4.水素ステーションの圧力容器の検査基準の対策強化
水素ステーションの圧力容器の検査は、設置時のみを行うことが義務付けられていた。設置時の検査後に事業者が圧力容器の位置を変更したり、容量を追加したりしても、安全性を検査する法的根拠がなかったため、変更時においても検査や許可を必要とする規定を追加した。
5.検査未実施の周辺機器を使用した場合の罰則を規定
事業者が検査を受けていない水素ステーションの周辺機器(注3)を設置しても、これに対する罰則規定がなかったため、規定を改正し、違反者に対しては1,000万ウォン(約105万円、1ウォン=約0.105円)以下の罰金または1年以下の懲役を科すこととした。
(注1)従来は学校、住宅など保護施設から17メートル以上、火器から8メートル以上の距離の確保など一律の規制だった。
(注2)都心とそれ以外の地域で一律の規制は実情に合っていないことや、ガソリンスタンドとの複合ステーションが事業経営上あり得ることなど。
(注3)燃料電池、水電解施設、水素抽出器など。
(当間正明)
(韓国)
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