ローコード・プラットフォーム開発スタートアップ、日本のVCから250万ドル調達

(ルーマニア、日本)

ブカレスト発

2022年06月06日

ITのローコード(注1)開発プラットフォームを提供するルーマニアのスタートアップ(SU)、テレポートHQ(teleport HQ)が5月25日、日本のベンチャーキャピタル(VC)であるワンキャピタル(One Capital、東京)から250万ドルを調達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

5月27日付「スタートアップカフェ」によると、テレポートHQのポール・ブリーCEO(最高経営責任者)はフロントエンド・エンジニア(注2)として15年の経歴がある。同氏をはじめ3人の技術者は、2013年にクルージュ・ナポカで設立したエボフォージ(Evo Forge)社内でこのプラットフォームの開発を始めた。2017年に欧州のVCから100万ユーロ調達したことを機にスピンアウト、テレポートHQをクルージュ・ナポカで設立し、今回のシード期の資金調達に至った。

ワンキャピタルは同月26日付のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、同社のウェブサイトをテレポートHQプラットフォーム上で開発したところ、コーディング時間を従来の5分の1程度にまで短縮することができたとした。テレポートHQは、デザインからコードを書き起こす必要がないため、フロントエンド・エンジニアの業務負荷を大幅に削減することができる。

ワンキャピタル作成の記事外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを基に、同社の許可を得て、テレポートHQへの出資経緯を以下に概説する。ワンキャピタルがテレポートHQを知ったのはソーシャルメディアからで、ウェブサイトの問い合わせ窓口からアクセスしたという。ポールCEOによれば、それまでも多くのVCと商談してきたが、ワンキャピタルが真価を認めてくれた初めてのVCだったという。ワンキャピタルによれば、VCにエンジニアを抱えていることが投資判断に重要で、今回の投資決定には同社エンジニアの中島賢太CTOの高い評価があった。中島氏の体感的には従来40~50時間かかっていた作業が、わずか6分で済んだことが投資決定の理由の1つだったとしている。ワンキャピタルは今後、テレポートHQの米国市場参入戦略(Go-to-Market)も支援したいとしている。

ルーマニアのITスタートアップは、ルーマニア初のユニコーンと報じられるユーアイパス(UiPath)やオベイト(2022年6月2日記事参照)のように、欧州市場を開拓したあと米国市場に参入するケースがみられる。

(注1)最小限のソースコードでアプリケーションやソフトウエアを開発する手法。グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)を用いることで、開発工程を削減できる。

(注2)ユーザーがウェブアプリケーションなどで直接目にするブラウザ画面(フロントエンド)を設計・構築する。通常フロントエンド・エンジニアは、ウェブデザイナーによる設計を基にHTML、CSS、JavaScriptなどでコーディングする。

(西澤成世)

(ルーマニア、日本)

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