スタートアップ支援基盤の整備進む

(カンボジア)

プノンペン発

2022年06月13日

カンボジアでスタートアップの支援基盤の整備が進んでいる。同国では2021年12月から、国家主導の「スタートアップ・カンボジア(SC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」というスタートアップエコシステム構築のデジタルプラットフォームが運営されている。SCは、経済財務省が主導する国家プログラムで、地場ローカルスタートアップを支援し、カンボジアに活気あるスタートアップエコシステムを構築することを目的としている。このプラットフォームには、スタートアップ関連の各種イベントや、支援プログラムが掲載されているほか、投資家、メンター、国内のスタートアップ、政府機関、学術研究機関、コワーキングスペースなど、カンボジアのスタートアップエコシステムに関する情報が登録されている。カンボジアのスタートアップは同プラットフォームを活用することで、スタートアップエコシステムの情報に容易にアクセスすることが可能となる。SCには、6月3日時点でスタートアップ87社、メンター46人、投資家12機関が登録されている。

国内のスタートアップ支援や、SCの運営を行うテチョ・スタートアップセンター(Techo Startup Center、TSC、注1)にジェトロがヒアリングしたところ、同センターのタン・ングオンリー事務局長は「カンボジアのスタートアップは増加傾向にある」とした一方で、「諸外国のスタートアップと比べて、人材の成熟度が低く、精巧なビジネスモデルの構築などに課題がある」と話した(ヒアリング:5月31日)。TSCは、そういう課題に対するソリューションとして、スタートアップが自らのビジネスモデルをブラッシュアップする場として、ピッチイベントなどの機会を提供している。ピッチイベントで上位3社に選出されると、共催の企業や機関から賞金のインセンティブが与えられる。加えて、アクセラレータープログラムなどを通して、各分野の専門性の高いメンターからアドバイスを受けることが可能だ。TSCはスタートアップに事業運営に関する講義を行うほか、レンタルオフィスの提供やスタートアップ同士の交流の場などを提供している。

外国から注目されるスタートアップの登場

TSCの支援を受けるスタートアップが外国からも注目され始めている。ペス・ユン・ヘルステック(Peth Yoeung Healthtech)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、医療記録や患者データなどを対象としたクラウドベースの病院管理ソフトウエアを運営しており、医療システムの運用効率化を図っている(2021年11月4日記事参照)。同社は2021年にカンボジアから初めてアジア・アントレプレナーシップ・アワード(注2)に出場し、オーディエンス賞を受賞した。

また、システム上で求職者と企業を自動的につなぐプラットフォームを開発するワーキングナ(Workingna)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは外国投資家の資金調達に成功した。​同社のデータベース上に職歴やキャリアプラン、面接結果などを蓄積し、​個人に合った求人、企業に合った求職者をシステムが自動的に提案している。

SCなどのデジタルプラットフォームの活用や、TSCの支援を受け、今後もカンボジアから有望なスタートアップが生まれることが期待される。

写真 TSCとジェトロの会議の様子。左から4番目がTSCのタン・ングオンリー事務局長(TSC提供)

TSCとジェトロの会議の様子。左から4番目がTSCのタン・ングオンリー事務局長(TSC提供)

(注1)経済財政省に属する組織。

(注2)成長著しいアジアから優秀なテクノロジーを持つスタートアップが集まり、社会課題解決につながるビジネスアイデアを競い合うコンテスト形式のアワード。「アジアにおけるイノベーションのエコシステムを構築する」ことを目的とし、2012年から開催され、2022年で10年目を迎える。

(井上良太)

(カンボジア)

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