米5月の雇用者数は39万人増、失業率は3カ月連続3.6%、時給の伸びは鈍化

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月06日

米国労働省が6月3日に発表した2022年5月の非農業部門雇用者数は前月から39万人増加し、市場予想(32万8,000人増)を上回った。失業者数が前月から9,000人増加、就業者数は32万1,000人増加した結果、失業率は前月と同じ3.6%(添付資料図参照)だった(市場予想は3.5%)。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(85万3,000人)より4万3,000人減の81万人、恒常的な失業者数は前月と変わらず138万6,000人だった。

労働参加率(注)は、生産年齢人口が前月から12万人増加、労働力人口も前月から33万人増加した結果、前月から0.1%ポイント上昇し、62.3%だった。

平均時給は31.95ドル(4月:31.85ドル)で、前月比0.3%増(4月:0.3%増、2022年5月9日記事参照)、前年同月比は5.2%増(4月:5.5%増)と伸びが鈍化した(添付資料表1参照)。

5月の非農業部門雇用者数の前月差39万人増の内訳をみると、民間部門は33万3,000人増で、うち財部門が5万9,000人増、主な業種として製造業は1万8,000人増、建設業は3万6,000人増だった。サービス部門は27万4,000人増で、娯楽・接客業8万4,000人増、対事業所サービス7万5,000人増、教育・医療サービス業7万4,000人増、運輸倉庫業4万7,000人増と多くの業種で引き続き増加しているが、小売業は6万1,000人減だった。政府部門は5万7,000人増と堅調だった(添付資料表2参照)。

また、5月の人種別失業率は、白人3.2%(前月3.2%)、アジア系2.4%(前月3.1%)、ヒスパニック・ラテン系4.3%(前月4.1%)、黒人6.2%(前月5.9%)となった。

今回の結果は、市場予想の雇用者数を上回るなど引き続き堅調とはいえ、平均時給の伸びは前年同月比で鈍化しており、物価高という観点からは明るい兆しがみられる。しかし、景気の観点からは、雇用者数の伸びは漸減してきており、失業率も横ばいで人種によっては悪化するなど、これまでの勢いに陰りがみられる。連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制を優先し、6月と7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で5月と同じく政策金利を通常の2倍の0.5ポイント引き上げる見込みだ(2022年5月6日記事参照)。こうした急激ともいえる手法で需要を押さえ込み、インフレを抑制させようとする金融政策の変更に、雇用情勢をはじめ、今の米国経済が耐えきれるか市場では懸念されているところだ。6月10日には、5月の消費者物価の公表が予定されている。既に鈍化の兆しがみられる物価動向だが、5月も引き続きその傾向が続くか注目される。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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