米4月の雇用者数は前月比42.8万人増、失業率は前月と同じ3.6%、時給も高止まり

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月09日

米国労働省が5月6日に発表した4月の非農業部門雇用者数は前月から42万8,000人増加し、市場予想(40万人増)を上回った。失業者数が前月から1万1,000人減少したが、就業者数も35万3,000人減少し、失業率は前月と同じ3.6%(添付資料図参照)だった(市場予想は3.5%)。

失業者のうち、一時解雇を理由とする失業者数は前月(78万7,000人)より6万6,000人増の85万3,000人、恒常的な失業者数は前月(139万2,000人)より6,000人減の138万6,000人となった。

労働参加率(注)は前月から0.2ポイント低下し、62.2%だった。4月の労働力人口は前月から36万3,000人減少している。

平均時給は31.85ドル(3月:31.75ドル)で、前月比0.3%増(3月:0.5%増)、前年同月比5.5%増(3月:5.6%増)と高止まりが続く(添付資料表1参照)。

4月の非農業部門雇用者数の前月差42万8,000人増の内訳をみると、民間部門は40万6,000人増で、そのうち財部門が6万6,000人増、主な業種として製造業は5万5,000人増、建設業は2,000人増だった。サービス部門は34万人増で、娯楽・接客業7万8,000人増、教育・医療サービス業5万9,000人増、運輸倉庫業5万2,000人増、対事業所サービス4万1,000人増とほぼ全ての業種で堅調に増加した。政府部門も2万2,000人増だった(添付資料表2参照)。

また、4月の人種別の失業率は、白人3.2%(前月3.2%)、アジア系3.1%(前月2.8%)、ヒスパニック・ラテン系4.1%(前月4.2%)、黒人5.9%(前月6.2%)だった。

3月に引き続き堅調だった雇用だが、平均時給の伸びは高止まりが続いていることに加え、労働参加率が下がっていることを踏まえると、労働需要に対し供給が見合っていない状況が続いている可能性が高い。3月の雇用動態調査でも求人数が過去最高をつける一方、自発的離職者数も過去最高をつけている(2022年5月9日記事参照)。こうした中、連邦準備制度理事会(FRB)は5月の連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を通常の2倍の0.5ポイント引き上げることを決定するなど、インフレ抑制のために需要を押さえつける方向へと急激にかじを切っている(2022年5月6日記事参照)。雇用情勢をはじめ、現在は堅調な米国経済だが、FRBは高インフレを抑制しつつ、景気を冷やすことなく巡航速度へと落ち着かせることができるか、注目される。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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