州知事選挙は与党が4州で勝利

(メキシコ)

メキシコ発

2022年06月15日

メキシコで6月5日、6州で州知事選挙が実施され、国家再生運動(MORENA)が率いる与党連合(MORENA、労働党、メキシコ緑の環境党)が4州で勝利した。イダルゴ州、オアハカ州、キンタナロー州、タマウリパス州で与党が擁立した候補が勝利したが、いずれの州も現政権は野党が担っており、与党が奪取したかたちとなった(添付資料表参照)。

タマウリパス州は、野党・国民行動党(PAN)出身の現知事の汚職疑惑問題なども影響し、与党連合のアメリコ・ビジャレアル氏が50.00%の得票率で勝利した。キンタナロー州では、与党連立候補のマリア・レサマ氏が得票率56.41%で、野党の対立候補を40.27ポイントと大きく引き離して当選確実となった。オアハカ州でも与党候補のサロモン・ハラ氏が60.27%と高い得票率を得て勝利した。イダルゴ州では1933年以来、長期間にわたり制度的革命党(PRI)政権が続いてきたが、与党のフリオ・メンチャカ候補が得票率61.56%と、野党候補の31.34%を大きく上回る支持を集めて勝利した。

伝統的にPANが強い基盤を持つアグアスカリエンテス州ではPAN、PRI、民主革命党(PRD)の連立候補であるテレサ・ヒメネス氏が得票率53.77%と、MORENAの擁立候補に20.25ポイントの大差をつけて勝利した。ドゥランゴ州でも、PAN、PRI、PRDの連立候補エステバン・ビジェガス氏が得票率53.75%と、与党連合の候補に14.89ポイントの差で勝利した。

大統領の支持率の高さが与党候補者への追い風に

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領の支持率は6月8日時点で54.8%と高い水準を保っている。新型コロナウイルス感染拡大により経済・社会活動に対して大幅な規制を敷いた2020年4月には支持率が50%を切る水準に急落したが、その後、同7月には50%を超える支持率へと持ち直した(「エル・エコノミスタ」紙6月8日)。AMLO大統領への国民の支持は底堅く、与党候補者の演説ではAMLO大統領の名前を頻繁に発言する様子が見られた。2021年6月に実施された中間選挙で、既に与党MORENAは連立候補を含めて11州で勝利を収めており(2021年6月8日記事参照)、他党との連立政権を含めると全国32州のうち22州の知事をMORENAが占めることになる。2023年にはメキシコ州とコアウイラ州の州知事選挙が行われ、2024年の大統領選挙を占う材料として注目される。

6月5日の州知事選挙の投票率は、アグアスカリエンテス州が45.99%、ドゥランゴ州が50.46%、イダルゴ州が47.59%、オアハカ州が38.79%、キンタナロー州が40.45%、タマウリパス州が53.31%で、総じて低い投票率となった。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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