政策金利を6カ月連続で引き上げ、52%に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年06月17日

アルゼンチン中央銀行は6月16日、政策金利〔28日物中央銀行債(Leliq)の利率〕を3ポイント引き上げて52%とした。引き上げは6カ月連続。

6月14日に発表された5月のインフレ率は5.1%で、6%を超えた3月と4月に比べて減速したものの、前年同月比では過去30年間で最高となる60.7%を記録した(2022年6月16日記事参照)。中銀は声明で「インフレ抑制には、金利引き上げによって、自国通貨ペソでの貯蓄の促進し、それによる為替レートの安定を図るだけでなく、インフレの慣性を減らすために、他の経済政策により金融政策を補完する必要がある。実質金利をプラスにするべく、政策金利を継続的に見直す」と述べ、経済省や工業生産・開発省などと連携したインフレ対策が重要との認識を示している。

経済省も6月16日、金利上昇による消費や生産活動への影響を考慮し、クレジットカードによる割賦払いの金利を優遇するプログラム「アオラ12」を継続することで、国産品の消費拡大を支援すると発表した。同プログラムの適用を受けた割賦払いの金利は、3回、6回、12回の分割払いの場合は年率42%、18回、24回払いの場合は同49%と、金利が抑えられる。

ここ数日間、アルゼンチンのペソ建て国債を売ってドルに資金を移す投資家の動きにより、国債の価格が急落したほか、カントリーリスク指数の上昇、非公式為替レートの急激な下落など、信用不安が高まる動きがみられた。今回の利上げはこうした動きも踏まえたものとみられる。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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