5月のインフレはやや減速も、年率60%超えで過去30年間の最高を更新

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年06月16日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は6月14日、2022年5月の消費者物価指数(CPI)上昇率を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。全国平均値は前月比5.1%で、3月(6.7%)および4月(6.0%)からは減速したものの、高止まりしている。一方、前年同月比では60.7%上昇し、4月に引き続き、1992年1月以来で最も高い上昇率となった(添付資料図参照)。2022年1~5月の累計上昇率(前年12月比)は29.3%に達した。

写真 国家統計センサス局(ジェトロ撮影)

国家統計センサス局(ジェトロ撮影)

INDECによると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは5月単月の上昇率で前月比3.4%、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは5.7%、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は5.2%上昇した。

5月単月の上昇率を費目別にみると、12の費目のうち、全国平均の総合指数(5.1%)を上回った費目は7費目あり、医療・健康(6.2%)、交通(6.1%)の2費目が6%を超えた(添付資料表1参照)。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は4.4%と落ち着いたが、小麦粉など一部品目の上昇率は2桁となっている。

2022年6月14日付の現地紙「クラリン」(電子版)は、6月には、ガス、電気、医療保険といった価格統制されているサービスの価格が引き上げられること、私立学校、家事サービス、燃料などインフレ調整が遅れている価格の引き上げが見込まれることから、6月単月のインフレ率も5%を上回る、との複数のエコノミストらの見方を伝えている。また、中央銀行がエコノミストらを対象に実施する主要経済指標の予測値に関するアンケート調査(REM)の最新の結果でも、6月のインフレ予測の中央値は5.0%になっている。なお、2022年末時点のインフレ予測値(年率)は72.6%となっている。

ジェトロは、2022年5月16日と6月15日に、ブエノスアイレス市内における価格調査を行った。価格が統制されている品目やインフレ調整が遅れているとみられる品目は、価格が据え置かれているが、全体のインフレ率を大きく超えて値上がりしている品目も散見された(添付資料表2参照)。一部の耐久消費財は、中間層の手が届かないほど価格が上がっているものもある。サン・アンドレス大学が5月27日から6月8日かけて行った世論調査によると、国が直面する課題のうち、国民の最大の関心事項は、圧倒的にインフレが問題となっている。政府は5月、インフレ行政を工業生産・開発省から経済省に移し、マルティン・グスマン経済相の手に委ねることを決めた。債務問題をはじめ、多くの課題を抱えながら難しいかじ取りを迫られている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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