第1四半期のGDP成長率は前期比0.8%

(オーストラリア)

シドニー発

2022年06月02日

オーストラリア統計局(ABS)は6月1日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前期比0.8%だったと発表した(添付資料表1参照)。新型コロナウイルスのデルタ型変異株の感染拡大による影響を受けた2021年第3四半期(7~9月)から大幅に改善した同年第4四半期(10~12月)に続き、2四半期連続でプラス成長を達成した。また、前年同期比では3.3%だった。

需要項目別の実質GDPを前期比でみると、国内における新型コロナ関連規制の緩和や国境の再開によって、前期に引き続き個人消費が拡大したことから、民間最終消費支出は前期比1.5%増となった。また、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州で発生した洪水の被災者支援などによって、政府最終消費支出も2.7%増となった。一方、洪水などの悪天候による鉱業での採掘減を受けて、財貨・サービスの輸出は0.9%減となった。財貨・サービスの輸入は、消費財や中間財の輸入が増加したことから、8.1%増と大きく増加した。

産業別にみると、旅行や外食需要の増加によって、運輸・郵便・倉庫業(前期比4.3%増)や宿泊・飲食サービス業(3.7%増)や伸びたほか、卸売業(3.2%増)、専門・科学技術サービス業(3.1%増)などが増加した(添付資料表2参照)。一方、オーストラリアの主要産業である鉱業は1.5%減となった。鉄鉱石(3.4%減)、石炭(2.7%減)、石油・ガス(0.6%減)が軒並み減少した。

5月の連邦議会総選挙の結果(2022年5月23日記事参照)、新たに成立した労働党政権で財務相に就任したジム・チャルマーズ氏は「供給制約やインフレ圧力の影響を受け、経済成長は選挙前に予想していたよりも弱い」と指摘した。また、「生活費負担の軽減や労働力不足の緩和など、多くの経済課題を乗り越えていかねばならない」と決意を表明した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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