ブラジルの新型コロナ新規感染者数が増加傾向に

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年06月03日

5月27日付の、保健省傘下のオズワルドクルス財団のデータによれば、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数は4月27日以降、増加傾向となっている。同日の新規感染者数は1万2,434人だったが、5月27日には2万2,676人に増加した。

5月27日付現地紙「CNNブラジル」は増加の背景について、オズワルドクルス財団でSARS(重症急性呼吸器症候群)などの分析を行うマルセロ・ゴメス研究者(注1)のコメントとして「新型コロナに起因するSARSなどの症例数が増加しており、その要因は、マスク着用義務の緩和(2022年3月23日記事参照)や、成人のブースター接種(3回目接種)が十分に行き届いていないこと」のほか、「2021年12月から2022年1月にかけて急増した新型コロナ感染拡大のピークから4カ月以上が経過したため、新型コロナに対する人々の免疫力が維持されていないこと」も影響している、との分析を報じた。

新規感染者数(7日間移動平均)が増加に転じたタイミングは、4月下旬に開催されたカーニバル後にも当たる。5月8日付現地紙「JP」は、ブラジルの大手民間医療機関ヘジ・ドール・サン・ルイスのハケル・ムアヘク感染症学者の見解として、「人々の往来が増えるカーニバルは、新型コロナ感染が拡大する1つの要因」と説明した。また、「全国の新型コロナワクチン接種率は人口の9割以上に達しておらず、祝日などで人が密集することでも感染が広がってしまう」と述べている。

オズワルドクルス財団のデータによれば、5月25日時点で所定の回数(注2)を接種した割合は77.73%。ブースター接種(3回目接種)が完了している割合は44.34%(いずれも人口比)。

(注1)ゴメス研究者は、オズワルドクルス財団が取りまとめる、「インフォグリッピ」と題する国内のSARSの状況分析を行う役割を担う。最新の「インフォグリッピ(第20週)」(5月15~21日を対象とした5月23日時点の分析)によれば、過去4週間にSARSと記録した件数の48%が「新型コロナに起因するもの」となっている。「インフォグリッピ(第17週)」(4月24~30日を対象とした5月2日時点の分析)では、過去4週間にSARSと記録した件数は36.6%だった。

(注2)中国シノバック・バイオテック製、英国アストラゼネカ製、米国ファイザー製の新型コロナワクチンはそれぞれ2回接種、ベルギー・ヤンセンファーマ製は1回接種。

(古木勇生)

(ブラジル)

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