米カリフォルニア州、干ばつで農地などへの引水禁止を命令

(米国)

サンフランシスコ発

2022年06月13日

米国カリフォルニア州水資源管理局は6月7日、改善の兆しが見えない干ばつに対応するため、一部の農地所有者や地方水道局などに対し、州最大の地表水源であるサクラメント・サンホアキンデルタ河川流域(注1)からの引水を禁止する命令を発出PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。翌8日に発効しており、まとまった降雨量がみられない限り、初秋まで続く見込み。違反者には、罰金として1日当たり1,000ドルに加え、引水1エーカーフィート(注2)ごとに2,500ドルが科される。水資源管理局は5月24日にも緊急水保全規制を採択し、都市水道事業者に節水の取り組みを強化するよう要請している(2022年5月31日記事参照)。6月10日時点で貴重な水資源となる山間部の雪塊量はピーク時平均のわずか1%しか残っていない。

同州で事業を行う際、湖や河川、地下水を利用するに当たっては、水利権が必要となる。干ばつなど水不足の際には、権利の種類と権利取得の年数によって優先度が異なり、取得年数の短い利権保持者は、取得年数の長い利権保持者よりも先に利用が制限される。この制限はカーテイルメント(抑制)と呼ばれる。

水資源管理局はこれまでも、一部の河川流域の利権保持者に対してカーテイルメント命令を発出していたが、州全域で改善しない干ばつ状態に対応するため、6月7日により広範囲に及ぶ命令を発出するに至った。現地メディアなどによると、同命令は200以上の公共の水利権を含む4,200以上の水利権保持者に影響を及ぼすとみられ、サンフランシスコ水道局もその1つに含まれる。カーテイルメントにより、河川から貯水池へ水を引けないものの、水道事業者の主な水源となっている貯水池に残存している水は制限を受けない。他方、サクラメント・サンホアキンデルタ河川流域は農業が盛んなため、農家の収入や雇用に大きな影響を及ぼすほか、野菜や果物など農作物の供給不足が懸念される(「サンフランシスコ・クロニクル」紙6月7日)。

(注1)州最北部~中部フレズノ周辺、セントラルバレーを中心とする広範囲の河川流域

(注2)1エーカーの面積(約4,000平方メートル)に1フィート(約30センチメートル)の深さを満たす体積

(田中三保子)

(米国)

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