米カリフォルニア州、深刻な干ばつでコメ生産量減少、価格高騰の見込み

(米国)

ロサンゼルス発

2022年06月07日

米国農務省(USDA)は5月16日、コメの作付け動向に関するレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、2022/2023年期(2022年8月1日~2023年7月31日)の短粒米と中粒米の国内生産量は前期比11%減の4,180万ショートハンドレッドウェイト(約190万トン)と、1988/1989年期以来最低となる見通しを示した。

生産量減少の主な原因は、一大産地カリフォルニア州の作付面積の減少による。同省が2022年4月に発表した今年度の作付け予定面積は、前年比8万エーカー(約3万2,000ヘクタール)減の245万エーカー(約99万ヘクタール)、中でも、カリフォルニア州の作付け予定面積は前年比15%減の34万8,000エーカー(約14万ヘクタール)となっており、2年連続の規模縮小が見込まれているだけでなく、1983/1984年期以来最小と予想されている。2021/2022年期時点で、短粒米・中粒米の収量は前年比10%以上の減少を記録した中、今年度はさらなる収量の減少が予想されることから、同省は輸入量の増加および取引価格の高騰を予想している。

カリフォルニア州で作付面積が減少した主な要因としては、州内の水不足が挙げられる。5月2日に州政府が公表した2022年第1四半期(1~3月)の降雨量の観測データによると、1月、2月、3月はいずれも過去100年の観測史上最も雨と雪の量が少ない月となっており、同州は2020年、2021年に続いて3年連続で深刻な干ばつを伴う年となる見込みだという。同州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は2021年7月、全住民に対し、自発的に水の使用量を2020年比で15%削減するよう求める知事令を出したが(2021年7月15日記事参照)、2022年3月には削減率を20%に引き上げるよう要請した。こうした状況を踏まえ、州内の農家は作付面積の減少のほか、潅水量が少なくて済む作物への転作を余儀なくされており、コメの生産者や加工・販売業者などで構成するカリフォニア・ライス委員会(CRC)によると、これによる州内のコメ農家と関連業界に与える影響は2億5,100万ドル以上に相当し、1,500人の雇用が失われると推測されている。

コメの作付面積が2021年に減少したことに伴い、既にカリフォルニア米の市場流通に影響が出ている。ジェトロがカリフォルニア州南部の日系スーパーを調査したところ、店頭のカリフォルニア米の多くが15ポンド(約6.8キログラム)から10ポンド(約4.5キログラム)、さらには5ポンド(約2.3キログラム)へとサイズダウンして販売されていたほか、店頭価格が2021年1月から2022年5月までの間に35%以上高騰した商品もみられた。昨今のサプライチェーン混乱の影響を受け、輸入米には高い物流コストが上乗せされているが、今後、カリフォルニア米の価格は日本から輸入されたコメの価格水準まで上昇する可能性も考えられる。食品業界の関係者からは、日系小売店舗や日本食レストラン向けに供給されるコメについては、カリフォルニア米との価格差が少なく、供給量を確保できる日本からの輸入米へのシフトを希望する声が上がる一方、物流混乱に伴う安定供給への懸念の声も聞かれた。カリフォルニア米の供給不足は今後も続く見込みなことから、米価の動向が注視される。

(村田佳子)

(米国)

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