米ヒューストン港、10億ドル規模の航路拡張プロジェクトに着手

(米国)

ヒューストン発

2022年06月10日

総取扱貨物量が全米2位(2019年)のヒューストン港は6月2日、10億ドル規模の航路拡張プロジェクトに着手したと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

同プロジェクトは、100年以上の歴史を持つ航路の11番目の大規模な建設プロジェクトであることから、「プロジェクト11」と名付けられ、ガルベストン湾に沿って航路の幅を530フィート(約162メートル)から700フィート(約213メートル)へ170フィート(約52メートル)拡張する。また、上流の一部を46.5フィート(約14メートル)まで深くし、安全性や効率性を向上させる。プロジェクト全体は2025年に完了する予定だ。

ヒューストン航路と200以上の公共・民間ターミナルは、総称して「ヒューストン港」と呼ばれ、輸送トン数では全米最大規模であり、ヒューストン地域のみならず、テキサス州や米国全体にとっても不可欠な経済基盤となっている。ヒューストン港はテキサス州で約135万人、全米で320万人の雇用を創出している。経済活動では、テキサス州での関連総生産額は3,390億ドルとなり、同州の州内総生産全体の20.6%を占めるほか、米国全体に8,019億ドルの経済効果をもたらしているという。

ヒューストン港のロジャー・ゲンター事務局長は「このプロジェクトにより、ヒューストン港は成長を続け、サプライチェーンにおける将来のあらゆる需要に効果的に対応することができるようになる」「安全で効率的な航路の整備は、ヒューストンが次の世代に豊かな機会を提供するための最良の方法」と述べている。

ヒューストン港のリック・カンポ会長は「年間1億3,400万ドルの経済効果をもたらすこのプロジェクトの完成と活用は、早ければ早いほどよい」「最終的には、雇用の拡大にもつながる」と述べている。

なお、ヒューストン港は4月4日、技術の向上、インフラや設備の改善、代替燃料やクリーンエネルギーの活用により、2050年までにカーボンニュートラルを実現するとの目標を発表している(2022年4月14日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国)

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