米ヒューストン港、温室効果ガス排出量を2050年までにネットゼロの削減目標

(米国)

ヒューストン発

2022年04月14日

総取扱貨物量が全米2位(2019年)のヒューストン港は4月4日、2050年までにカーボンニュートラルを実現するとの目標を発表した。技術の向上、インフラや設備の改善、代替燃料やクリーンエネルギーの活用により、2050年までに温室効果ガス排出量をネットゼロに削減する計画だ。

これまでにもヒューストン港は、2016年から2021年までに二酸化炭素(CO2)排出量を55%削減し、ヒューストン港を利用する事業者は、2013年から2019年までにCO2排出量を21%削減してきたとしている。

ネットゼロに向けた方策として、ヒューストン港は、これまでの同港の72の継続的な取り組みに加え、2021年8月、新たに27の持続可能な取り組みを同港が主導し、または他社と提携し、あるいは側面支援することで実現する、「持続可能性行動計画」を発表している。同港は、今後3年間で、施設にスマート照明を導入してゲート効率を改善し、船舶の航行効率を向上させるほか、800エーカー(約3平方キロ)の野生生物の生息地を新たに整備する予定だ。

また、ヒューストン港は、カーボンニュートラル行動計画の一環として、最終的に埠頭(ふとう)からの排出ガスをなくし、トラックを低公害車両に移行させ、グリーン輸送回廊やグリーン燃料の導入を支援するとしている。

ヒューストン港のロジャー・ゲンター事務局長は「われわれの目標は野心的だが、それを達成するためには現実的でなければならない。われわれが行う選択は、環境にとって良いものであると同時に、経済や、ヒューストン港水路、さらにはヒューストン港での仕事に依存している何百万人もの人々にとっても良いものだ」「船舶、トラック、テナント、その他の事業者を含むサプライチェーン全体で温室効果ガスの削減が必要だ。より良い明日を実現するためには、海運におけるグローバルな脱炭素化も必要だ」と述べている。

米国環境防衛基金のエレナ・クラフト気候・健康担当シニアディレクターは「政府、産業界、地域社会が一体となって、気候汚染をなくし、公衆衛生を守るために早急に取り組むというヒューストン港のコミットメントを支持する」と述べている。

(沖本憲司)

(米国)

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