カナダ、機密性の高い技術や製品のロシアによる軍事利用防止へ米国と提携強化

(カナダ、米国、ロシア)

米州課

2022年06月15日

カナダ国境サービス庁(CBSA)は6月7日、機密性の高い技術やそれを用いた製品がロシアの手に渡ることのないよう、米国商務省産業安全保障局(BIS)との間で、両国の協力による管理体制を一層強化していくとの共同コミットメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

両機関は、機密性の高い商品や技術が大量破壊兵器や通常兵器の製造に使用される可能性のある不正な調達ネットワークに到達するのを防ぐため、制裁や輸出規制を含む幅広い措置を実施している。その執行努力によって、潜在的に不正な活動に従事する国家や非国家主体を特定して活動を阻止し、商品や技術を押収するほか、金銭的ペナルティーを科し、規則違反者の刑事捜査を行うことができているという。今回のコミットメントを機に、両国間で今後一層提携を強化し、情報の相互共有、出荷前後の検査、貨物の検査、押収、出荷停止、共同での取り締まりや調査を通じて脅威の低減を図るとしている。

カナダのマルコ・メンディチノ公安相は「カナダは、ロシアによるウクライナへの不法な侵攻であれ、世界のほかの場所でのサイバー攻撃や偽情報であれ、ロシアによる侵略に対して断固として立ち向かおうとしている。そのため、CBSAは重要な商品や技術がロシアの手に渡ることを阻止するための取り組みを強化している。米国との新たな協力関係は、こうした取り組みを強化し、ロシアの責任を追及するのに役立つだろう」と述べている。

この発表について、米国のアラン・エステベス商務次官(産業・安全保障担当)は「2国間の緊密な連携をさらに強化し、プーチン政権が侵略を続行する能力を封じる努力と、ウクライナの人々との連帯に、ともに立ち上がるという強いメッセージを送るもの」と述べている。

カナダからロシアへの輸出は、カナダ政府が2月24日、重要な医療サプライチェーンを除いてロシアへの新規の輸出許可申請受け付けを停止と、有効な既存の輸出許可を取り消すことを発表して以降、大幅に制限されている(2022年2月25日記事参照)。カナダ統計局のデータによると、輸出規制の導入後となる2022年3月のロシア向け輸出額は、前年同月の3,930万カナダ・ドル(約40億8,720万円、Cドル、1Cドル=約104円)から471万Cドルに大きく減少している。

(高山さわ)

(カナダ、米国、ロシア)

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