国立銀行が中期経済予測を発表、ウクライナ情勢とインフレが経済成長を抑制

(オーストリア)

ウィーン発

2022年06月23日

オーストリア国立銀行(中央銀行)は6月10日に中期経済予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、2022年の実質GDP成長率を3.8%、2023年は1.9%とし、前回予測(2021年12月)から2022年は0.5ポイント、2023年は0.7ポイントそれぞれ下方修正した(添付資料表参照)。これは、ウクライナ情勢が2022年内に終了し、対ロシア制裁が2024年までに解除されることを見込んでのもの。

一方、2022年の消費者物価指数の予測値は7.0%とし、前回予測の3.2%から3.8ポイント上方修正した。これは1975年以来の最高値となる。2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻によって原料価格が急騰し、「新型コロナ禍」から続いているサプライチェーンの混乱もインフレを加速させた。2022年に入って消費者物価指数は毎月上昇し、5月には8.1%となった。中央銀行によると、消費者物価指数は2022年7月にピークを迎えた後、年末までに徐々に安定すると予測した。賃金の上昇と依然として高いエネルギー価格により、消費者物価指数は2023年と2024年にも、それぞれ4.2%、3.0%と予測し、長年の平均値を上回るとみられる。

2022年初に、オーストリア経済は前回12月の予測値よりも大きく回復したが、ウクライナ情勢による影響で、第2四半期には回復基調が停滞した。2022年後半も停滞感が続くとみられている。仮に今後、ロシアとウクライナの戦争がさらに長期化し、ロシアがガスの供給を1年停止するという最悪のシナリオとなれば、オーストリアは不況に陥り、実質GDP成長率は2022年にマイナス0.6%、2023年にマイナス1.4%とマイナス成長に転じ、2022年の消費者物価指数は8.5%まで上昇すると予測した。

一方で、労働市場は引き続き改善している。観光・レストラン業にさらなるロックダウンが実施されないことを前提に、被雇用者数は2022年に2.6%増加する見込み。オーストリア労働市場サービス(AMS)によると、失業率は2021年に8.0%だったが、2022年に6.2%、2023年に6.0%、2024年に5.9%まで改善するとみられている。物価上昇によって、2022年に実質賃金は過去最大の2.5%減少し、所得減税による下支えがあるとしても、可処分所得は減少する。個人消費は、2021年の消費低迷の解消による反動を受けた需要増加のため、2022年は前年比で3.9%拡大するが、「新型コロナ禍」前の水準には2023年後半まで戻らず、ウクライナ情勢も消費志向を抑制しているとした。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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