欧州投資銀行がパレスチナに拠点設立

(イスラエル、パレスチナ、EU)

テルアビブ発

2022年06月14日

パレスチナ現地紙「ワファ」(5月17日付)は、欧州投資銀行(EIB)がパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸およびガザ地区)を管轄する拠点を初めて設置すると報じた。

記事によると、同拠点はエルサレムにあるEUの代表部内に設置され、パレスチナ自治区内における同行の技術・資金協力を進めるという。

5月16日に西岸地区のラマッラーで開催された式典には、ウェルナー・ホイヤーEIB総裁、ジェルソミナ・ビグリオッティEIB副総裁、フェラス・ミルヘム・パレスチナ金融庁長官、スベン・クゥン・フォン・ブルグスドルフ駐パレスチナEU代表部大使が出席し、拠点の設立を公式に発表した。パレスチナにおける民間投資をさらに促進するほか、世界保健機関(WHO)と連携して、公衆衛生環境改善のための新たな取り組みも行うとした。

EIBは拠点設立に先立つ5月11日、ガザ地区の復興に向けた総額6,000万ユーロに上る民間企業向け資金協力を発表していた。パレスチナ金融庁を通じたEIBの融資政策として、総額5,000万ドルとなる企業融資スキームも実施されるという。

欧州とパレスチナの関係では、5月24日にロベルタ・メツォラ欧州議会議長がパレスチナ自治区のラマッラーを訪問。同自治区政府(PA)のマフムード・アッバース議長と会談し、国連決議と国際法に基づく「2国家解決」による平和構築を支持するEUの立場をあらためて強調した。

また、欧州議会の議員団が、6月12~16日にイスラエルとパレスチナを訪問する予定で、ムハンマド・シュタイエPA首相ほかと面会すると報じられている。

新型コロナウイルス感染拡大や2021年5月のガザ紛争(2021年5月17日記事参照2021年5月21日記事参照)によって影響を受けたパレスチナ経済の復興に向けて、今後もEUの支援が活発化する可能性がある。

(吉田暢)

(イスラエル、パレスチナ、EU)

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