青島市、海洋強国の建設に向けた海洋産業振興策を発表

(中国)

青島発

2022年05月02日

中国の青島市海洋発展局は4月12日、市政府の記者会見で「牽引型現代的海洋都市の構築を加速し海洋強国の建設に資することに関する意見」を発表した。意見では、2025年までに同市の海洋関連産業の域内総生産(GRP)の年間平均成長率目標を7%以上、海洋戦略新興産業(注)の付加価値額の年間平均成長率目標を8%以上とするほか、2035年までに海洋関連の科学技術や経済などの各分野を発展させ、関連分野の国際交流も活発に行われる世界の中心的な海洋都市となること目指すとした。

また、意見では、海洋科学技術イノベーション、海洋産業、海運・貿易・金融イノベーション、海洋生態、海洋関連業務の国際交流という5つの面での発展の方向性を示した。このうち、海洋産業の発展については、船舶・海洋工事設備製造業、海洋バイオ医薬産業、海洋新エネルギー産業などの分野が含まれた。具体的には、国際水産品交易センター・コールドチェーン物流基地、海水淡水化施設、深海・遠海でのグリーン養殖などの大型プロジェクトの推進を通じて、現代的な海洋産業システムの構築を目指す。

海運・貿易・金融イノベーションの面では、青島港董家口港エリア、国際クルーズ母港エリアの開発などを通じて、世界で一流の港湾、北東アジアの国際的海運ハブとなることを目指している。

青島市海洋発展局の説明によると、2021年の同市の海洋産業分野の生産総額は前年比17.1%増の4,684億8,400万元(約9兆3,697億円、1元=約20円)となり、市のGRP総額の30%以上を占めた。また、青島港の2021年の貨物取扱量は6億3,000万トン、コンテナ取扱量は2,371万TEU(20フィートコンテナ換算)で、全国の港湾のうちそれぞれ第4位、第5位となった。

なお、青島港はアジアで初めての全自動化コンテナ埠頭、また、世界で初めて水素エネルギーと第5世代移動通信システム(5G)技術を取り入れたスマート・グリーン埠頭でもある。上記の一連の取り組みでは、青島港の「スマート港湾」化も海運・貿易・金融業イノベーション面での重要プロジェクトとしても位置付けられている。

(注)海洋戦略新興産業には、海洋工事設備製造業、海洋薬物・生物製品業、海洋再生可能エネルギー利用業、海水利用業、海洋新材料製造業、海洋ハイテクサービス業を含む。

(董玥涵)

(中国)

ビジネス短信 fe9d70246e900ff9