ボッシュ、水素製造に必要な水電解装置の部品事業に参入

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2022年05月13日

ドイツの自動車部品・電動工具メーカーのボッシュは5月4日、水素製造に必要な水電解装置の部品事業への参入を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

エネルギーの多様化や化石燃料からの脱却、二酸化炭素(CO2)排出量削減の必要性から、グリーン水素(注1)の需要が鉄鋼や化学、重量貨物輸送といったエネルギー集約型産業のみならず、居住用の建物でも急速に増加しつつある。ボッシュは、水電解装置の部品の市場規模は全世界で2030年に約140億ユーロに上ると予測し、中でも欧州の伸び率が最も高いとみている。同社は今後3年間で、電化や水素などのカーボンニュートラル達成に資する技術に30億ユーロ強を投資する予定。うち、水電解装置の部品の開発には2030年までに最大5億ユーロを投資するとしている。

水電解装置の部品市場の参入について、具体的には、パートナー企業と連携し、電解槽の中核となる水電解スタック(注2)に制御装置やパワーエレクトロニクス、センサーを組み合わせた「スマートモジュール」を開発する。2023年にパイロットプラントの稼働開始を予定する。また、2025年以降に同モジュールを電解槽メーカーや製造業向けサービスプロバイダーに供給予定だ。同モジュールは最大10メガワット級までの小型ユニットのほか、ギガワット級の洋上・陸上風力発電所でも利用できる予定。また、ドイツやオランダ、オーストリア、チェコなど欧州の複数の工場で大量生産することを計画しており、製造コストを下げる狙いがある。

ボッシュのシュテファン・ハルトゥング取締役会会長は「気候保護をこれ以上先延ばしにしてはいけない。ボッシュの技術を利用し、欧州での水素製造の急速な拡大を推進する」と意気込みを述べた。

(注1)再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解して生成される水素。製造過程でCO2を排出しない。

(注2)数百の水電解セルを積み重ねたもの。それぞれのセルで、電気により水が水素と酸素に分解される。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ)

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