フランス農業スタートアップにイスラエルVCが出資、協働へ

(イスラエル、フランス)

テルアビブ発

2022年05月17日

イスラエル現地紙「カルカリステック」は5月10日、フランスのスタートアップ「センクロップ」が1,800万ドルの資金調達(ラウンドB)を実施したと報じた。この投資は、イスラエルのベンチャーキャピタル(VC)であるエルサレム・ベンチャー・パートナーズ(JVP)がリードし、EUが支援する食糧関連技術インキュベーターのEITフードなどのほか、フランスの政府投資機関であるBPIフランスをはじめとした既存投資家が参加したとされる。

同記事によると、センクロップのソリューションは、2万人以上の農家が作物栽培に関して、気象状況や病虫害リスク、灌漑需要などの情報をアプリで精密に把握することを可能にする。2016年創業のスタートアップではありながら、フランス本社のほかにオランダ、英国、ドイツ、スペイン、イタリアに拠点を有し、20カ国で展開しているという。

今回の資金調達によって同社は、イスラエル北部ガリラヤ地方に設立されている農業関連技術開発拠点「マルガリト・スタートアップシティー・ガリル」(注1)に新たに拠点を設け、同地を中心に精密農業分野で技術開発を行うイスラエルスタートアップに対して、同社のプラットフォームを活用したグローバル市場への進出機会を提供する。

同拠点の創設者でJVPの創業者であるエレル・マルガリト氏は「カルカリステック」紙の取材に対して、「今回の事例はBPIフランスとの広範な協力関係の一端だ」と述べ、エマニュエル・マクロン大統領やブリュノ・ル・メール経済・財務・復興相からも歓迎が示されたとして、フランス政府の支援が重要だったことを示した。

従来、イスラエルのVCはその成り立ちの経緯(注2)もあり、国内外から調達した資金を主にイスラエルスタートアップに投資する傾向が強い。また、外国企業との関係性においても、多くは大企業やグローバル企業とのオープンイノベーションを目指すかたちが主流だ。今回のように、外国政府との協力の下にその国のスタートアップに投資するとともに、そのソリューションをイスラエルのスタートアップの成長に活用するという事例は、今後の日本とイスラエルとの間の協力関係の発展においても示唆がありそうだ。

(注1)同拠点の設立経緯については2021年9月7日記事を参照。

(注2)イスラエルのVCをはじめとしたハイテクエコシステムの成り立ちについては以下の資料(3ページ)を参照。「イスラエルのイノベーション動向と今後の可能性PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」ジェトロ企画部海外地域戦略主幹 西浦克作成(一般財団法人 国際経済連携推進センター主催 国際情勢ウェビナー「イスラエルを取り巻く世界情勢の変化と同国の可能性」講演資料)

(吉田暢)

(イスラエル、フランス)

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