ベトナム首相がIPEF発足式に参加、国際的な課題の協議に意欲

(ベトナム)

ハノイ発

2022年05月27日

ベトナムのファム・ミン・チン首相は5月23日、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の発足式(2022年5月24日記事参照)にハノイからオンラインで出席した。ベトナムはIPEF発足メンバー13カ国(注)に名を連ね、参加国の利益につながる枠組みになるよう、ASEAN加盟国と米国のパートナー国と連携して協議に臨む意向だ。

チン首相は発足式で、「IPEFは1カ国では対処が難しい地域的かつ国際的な問題を議論する場となる」と言及。IPEFを通じたサプライチェーンの多元化と強靭(きょうじん)化、技術革新、デジタルトランスフォーメーション(DX)、電子商取引の促進、気候変動対応、2050年までのカーボンニュートラル達成、グリーン成長、税制問題、汚職防止に向けた取り組みに意欲を示した。

また、チン首相は「ベトナムは国際統合の動きと連携しつつ、独立かつ自立した経済を追求し、あらゆる努力をしている」と強調。「ベトナムは多くの国際的な枠組みに参加し、地域と世界の経済回復、持続可能な発展を加速するための取り組みに積極的に貢献している」と主張した。ベトナムは環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)や地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に早期から参加を表明するなど、経済的な枠組みに対して前向きな姿勢を維持している。

チン首相はIPEFの協議内容について、国際法に準拠して包括的かつオープンで柔軟なプロセスにすること、すべての関係国に正当な利益をもたらすことが必要だと指摘。同時に、既存の経済的な枠組みを補完する役割にも期待を示した。

IPEF発足式後の経済大臣会合に出席したグエン・ホン・ジエン商工相は、IPEFがインド太平洋地域全体に実質的な利益をもたらすよう、参加国ごとの発展状況に応じ、柔軟でバランスの取れた適切な内容にする必要があると訴えた。

IPEF発足に先立ち、チン首相は米国・ASEAN特別サミット出席のため、5月11~17日に米国を訪問。米国政府や企業との会合では、IPEF参加への前向きな姿勢を示すとともに、気候変動対策の支援、DXやエネルギー分野の投資促進などを要請していた。

(注)米国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの13カ国。

(庄浩充)

(ベトナム)

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