チリで新型コロナ・オミクロンのBA.2系統が流行の兆し

(チリ)

サンティアゴ発

2022年05月12日

チリ保健省の集計データによると、4月10~16日までの1週間で市中検疫にて採取された新型コロナウイルスのオミクロン変異株155件のうち、ゲノム解析を行った結果、BA.1株(オミクロンのオリジナル株)が全体の1.3%、BA.1.1株が59.4%、BA.2株が19.4%、BA.2.3株が11.0%となったことが分かった。これは、2022年1月初めに検出されたオミクロン変異株のうちの大半を占めていたBA.1株からBA.1.1株へ流行の中心が移行していることを示しており、また、オリジナルに比べて感染力が強いとされているBA.2株についても、1カ月前の週と比較して、3.9倍と増加傾向にある。

加えてチリ公衆保健院(ISP)は、同じ期間に国境検疫で検出されたオミクロン変異株134件についても同様の解析を行っており、その結果、BA.1株が全体の0.7%、BA.1.1株が9.7%、BA.2株が51.5%、BA.2.9株が8.2%、BA2.3株が7.5%と、BA.2系統が半数以上を占めていることが分かった。

チリでオミクロン変異株への感染者が初めて確認されたのは2021年11月25日で(2021年12月8日記事参照)、これまで国内で流行していたデルタ変異株から約1カ月余りで流行の中心が置き換わった。オミクロン変異株の流行により、2月11日には1日の新規感染者数が3万8,000人超まで拡大したものの、5月2日時点では1,481人にまで減少している。

3度目のワクチン接種者、対象人口の7割を超える

チリ保健省が4月29日に発表したデータによると、3歳以上の新型コロナワクチン接種対象人口(1,897万2,800人)のうち、効力増強のための3度目のワクチン接種を打ち終えた者が1,396万3,163人となり、対象人口の7割を超えた。チリは、世界的に見ても高いワクチン接種率を誇っているものの、今後の南半球の冬入りの影響により、現在世界的にも流行の中心となっているBA.2株が猛威を振るうことが懸念される。

(岡戸美澪)

(チリ)

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