イーロン・マスク氏がブラジル訪問、スターリンクでアマゾン熱帯雨林地域の保護などに貢献

(ブラジル、米国)

サンパウロ発

2022年05月25日

ブラジル通信省は5月20日、公式サイトを通じ、サンパウロ州ポルト・フェリス市(注)で同日、森林保護の強化とアマゾン熱帯雨林地域のインターネット通信網拡大について議論する「アマゾン地域の接続、保護、教育」と題するイベントを、官民合同で開催したと発表した。

同イベントには、航空宇宙企業スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)の創設者兼最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏、ジャイール・ボルソナーロ大統領、ファビオ・ファリア通信相らが出席した。

マスクCEOの公式ツイッターによると、同氏はイベントの中で、「(ブラジルの)農村において、インターネット接続がない1万9,000の学校向け、また、アマゾンの環境保護モニタリングを行う目的で、スペースXの衛星通信サービスである、スターリンクを開始するためブラジルに来たことは、大変エキサイティングだ」と述べた。

スターリンクは、通常の通信衛星よりも低い軌道を飛行する多くの人工衛星を駆使することで、遠隔地において、より高速かつ大容量の通信を可能にする。こうしたサービスの強みを踏まえ、マスクCEOはイベントで「多くの画像や動画を撮り、現場で実際に起きていることを理解するために送信されるデータ量は膨大なもの。アマゾン熱帯雨林地域を効果的に監視するためにはこのコネクティビティが必要になる」と説明した。

ボルソナーロ大統領はマスクCEOの協力について、「われわれはアマゾン熱帯雨林地域が保護されていることを示していく。この衛星は、森林の火災や破壊が不規則に見られる同地域の保護を助けていくことになるだろう」との期待を示した。

ブラジル電気通信庁(ANATEL)は2022年1月28日、スペースXの非静止衛星4,408機を、ブラジルで2027年3月28日まで運用可能にする旨を承認している。

スターリンク公式ページによれば、2022年5月23日時点で、同社のサービスは、サンパウロ州やリオデジャネイロ州を含むブラジルの南東部、また南部など一部地域でのみ利用可能となっている。アマゾン熱帯雨林地域での利用開始予定時期は2023年第1四半期。

(注)サンパウロ市から直線距離で北西に約100キロ離れた都市。

(古木勇生)

(ブラジル、米国)

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