APEC貿易担当相会合が開催
(アジア、オセアニア、タイ、日本)
バンコク発
2022年05月31日
タイで5月21日から22日にかけてAPEC貿易担当相会合が対面形式で開催され、ジュリン・ラクサナウィシット副首相兼商務相が議長を務めた。日本からは萩生田光一経済産業相、三宅伸吾外務大臣政務官が出席した(APEC、タイ商務省
、経済産業省
、外務省発表
)。
ジュリン副首相は、APEC2022のテーマである(1)すべての機会にオープンである、(2)あらゆる次元で連結されている、(3)あらゆる側面でバランスがとれている、という3つの優先分野に基づく議長声明を発表した。主な内容は以下のとおり。
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WTOを中核とするルールに基づく多角的貿易システムの重要性の再確認。WTO改革(概要は外務省ウェブサイト
参照)の支持。
- 貿易円滑化の強化、不要な貿易障壁を設置しない重要性の強調。連結性の促進と開放的・安全・弾力的な供給網の構築・維持のための企業支援。
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2030年に向けたAPEC食料安全保障ロードマップ
に基づく食料安全保障の達成。
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APECサービス競争力ロードマップ
に基づく2025年までの目標達成に向けた努力の継続。
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ワクチンなどの流通販売を念頭にした「物流関連サービス
」の定義の支持。
- WTO貿易円滑化協定(特に迅速な出荷、到着前貨物処理、電子文書、電子証明、電子決済など)の実施加速。
- 強化されたAPEC構造改革アジェンダ(EAASR)、第3次APECビジネス環境改善取り組み行動計画の実施。
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APECプトラジャヤ・ビジョン2040
とその達成に向けたアオテアロア行動計画
の推進。
- アジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)に関するAPECビジネス諮問委員会(ABAC)の提言の留意。
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APECインターネット・デジタル経済に関するロードマップ(AIDER)
の実施加速。
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安全でシームレスな越境旅行の再開促進。APECにおけるワクチン接種証明書の相互運用のための自主的原則
の歓迎。
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APEC連結性ブループリント
の実施促進。
- バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済の支持、可能性の評価。
- 無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金の合理化と段階的廃止に関するコミットの再確認。
ジュリン副首相と萩生田大臣の会談
商務省によると、5月21日にはジュリン副首相と萩生田経済産業相の会談も実施された。主な内容は以下のとおり。
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アジア未来投資イニシアティブ(AJIF)
:アジアにおける日本の未来の投資政策で、イノベーションを活用した投資に重点を置く。タイ側は、日本からの投資流入とタイ投資家との共同投資の拡大と、30社を超えるタイの投資家による対日投資の支援を要望。
- 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定:RCEP協定の活用で、日本のタイ向け輸出が増える可能性がある。タイも、食品や繊維製品の対日輸出でメリットを享受。両国は、RCEPのより良い活用が加盟国間の貿易拡大に資するとの考えで一致。
- インド太平洋経済枠組み(IPEF):日本は、タイのIPEF協議への参加意向を歓迎。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(アジア、オセアニア、タイ、日本)
ビジネス短信 d40024056b53d476