米主要港、3月の輸入コンテナ量は過去最高水準、全米小売業協会

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月11日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(5月6日)によると、直近3月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比10.8%増の234万TEU(1TEUは20フィートの長さの貨物コンテナの換算)となった。これは、NRFが2002年に輸入量の追跡を開始して以来、単月のコンテナ輸入数としては、2021年5月に記録した最高値の233万TEUを上回り、過去最高を記録した。

今後もコスト上昇や物流混雑の長期化が見込まれる中、小売業者などはこれらの影響を軽減するためにも商品を前倒しで輸入する傾向がみられる。ハケット・アソシエイツの創設者、ベン・ハケット氏は、消費者支出は所得の伸びを上回っており、消費者は物価上昇を先取りして購入している、との見方を示すとともに、運賃の上昇や物流混乱による遅延から身を守るため、輸入業者なども前倒しで在庫を補充していると説明した。また、米国西海岸の港湾では太平洋海事協会(PMA)と国際港湾倉庫労働組合(ILWU)との労使交渉が迫っており、新たな労使協約の締結交渉が難航した場合、現場のオペレーションに与える影響が懸念されている。米西海岸では5年に1度、港湾での労使交渉が行われ、現行の協約は2019年7月1日に失効予定だったが、2022年7月1日まで延長されることとなった(2022年3月7日記事参照)。

クリーブランド港の社長兼最高経営責任者(CEO)のウィリアム・フリードマン氏によると、米国西海岸と東海岸の港湾で物流混乱が長期化する中、米国北東部に位置するオハイオ州クリーブランド港では貨物量を大幅に増やし、2021年の港湾全体の積量は前年比69%増と大量の貨物処理に対応することができたという。同氏は、国内のサプライチェーンの現状について、米国の一部の港湾に貨物の流れが大きく集中していることによって、今後の需要と供給のアンバランスの脆弱(ぜいじゃく)性の管理に弱点があると述べた。これらに対応するためには、キャパシティがある内陸の港を含め、貨物の発着地点に近い第2の港口を有効活用する必要性があると指摘。クリーブランド港は、従来の米国やカナダの航路に代わるものとして、欧州に直送する拠点でもあり、今後も米国中西部地域の重要な物流拠点として注目されると説明した。

(注)主要輸入港には、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア港、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ港、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港が含まれる。

(樫葉さくら)

(米国)

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