2021年のカナダの直接投資残高、対内・対外とも増加

(カナダ)

トロント発

2022年05月11日

カナダ統計局は4月29日、2021年末時点の対内・対外直接投資残高を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。カナダ国内への投資にあたる対内直接投資残高は前年比7.8%増の1兆825億カナダ・ドル(約109兆3,345億円、Cドル、1Cドル=約101円)で、2020年の4.3%の減少から大幅な増加に転じた。また、カナダから国外への投資にあたる対外直接投資残高は、クロスボーダーM&A活動を背景に、4.5%増の1兆5,556億Cドルに達した。

対内直接投資残高を国別にみると、全残高の46.3%を占める米国(5,007億Cドル)を筆頭に、オランダ(1,475億Cドル)、英国(735億Cドル)などに次いで、日本(35億Cドル)は6位につけた(添付資料表1参照)。

また、投資分野の内訳は企業経営、製造、エネルギーが中心で、3分野の合計は6,334億Cドルと全体の58.5%を占めた(添付資料表2参照)。なかでも、製造分野は226億Cドル増加し、2020年の減少額(106億Cドル)の2倍以上の増加がみられた。また、エネルギー分野も116億Cドル増加し、新型コロナ禍による混乱を背景に2020年の432億Cドルの減少から、回復基調となった。

対外直接投資残高を国別にみると、全残高の47.9%を占める米国(7,449億Cドル)に次いで、英国(1,277億Cドル)とルクセンブルク(986億Cドル)が2位、3位となり、日本(77億Cドル)は26位だった(別添資料表3参照)。日本への直接投資残高は2020年に29.6%減少したが、2021年には9.8%増に回復した。

また、投資分野の内訳は、金融、企業経営、エネルギーが中心で、3分野の合計は9,500億Cドルと全体の61.1%を占めた(添付資料表4参照)。ただし、投資の伸びは運輸に集中し、2021年には前年比32.6%増の335億ドルの増加となった。

なお、カナダでは、連邦政府による投資審査に関する年次報告書の作成が、カナダ投資法により義務付けられており、2020年度(2020年4月~2021年3月)分は2022年2月に公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。2021年度分については2023年2月ごろの発表が見込まれ、審査対象となった対内直接投資の統計などが公開予定となっている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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