米エネルギー省、二酸化炭素貯蔵事業などに23億4,000万ドルの拠出を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月10日

米エネルギー省(DOE)は5月5日、二酸化炭素(CO2)の貯留事業などに23億4,000万ドルを拠出することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。当該予算は主に、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法から手当てされる見込みだ。

同事業では、発電所や産業用地などから回収したCO2を地下に貯留する技術および貯留場所の選定について、今後5年間で22億5,000万ドルを費やし調査と試験を実施する。貯留場所については、現時点でメキシコ湾の周辺沖合が有力地域として検討されている。DOEは本事業を通じて、将来的に少なくとも5,000万トンのCO2(年間1,000万台のガソリン車が排出する量に相当)の回収・貯留が可能になると見込んでいる。

また、DOEは、CO2貯留サイトの安全かつ効率的な運営を行う事業体に4,500万ドル、大気などからCO2を除去、捕捉、変換または貯留する技術の開発に4,600万ドルを支援することを併せて発表した。

現時点で、事業の開始時期や事業体の選定時期は明らかにされていないが、DOEによれば間もなく資金の手当てが開始される予定だ(ロイター5月5日)

二酸化炭素の除去技術(CDR)および回収・貯留技術(CCS)について、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2月に発表した第6次評価報告書の中で、CDRを「カーボンニュートラルを達成させ得る」技術と評価しており、温暖化モデルの試算上CCSのさらなる拡大を前提にしているなど、その重要性が認識されている。国際エネルギー機関(IEA)によれば、回収したCO2を油田などに注入して利用する二酸化炭素回収・活用・貯留技術(CCUS)について、関連プロジェクトが2021年に世界で27件稼働しており、開発検討段階のものを併せると168件と、前年の62件から3倍近くに急増している。米国でも、三菱重工が米国のエネルギー会社バッケン・エナジーと共に、ノースダコタ州でCCS技術を活用したクリーン水素の事業化を行うと発表するなど、既に関連の動きがみられ、DOEの今回の発表も相まってこのような流れはますます加速していきそうだ。

(宮野慶太)

(米国)

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