3月の乗用車販売、前年同月比3.9%減、年度計でも低水準

(インド)

ベンガルール発

2022年05月06日

インド自動車工業会(SIAM)は4月13日、自動車統計(出荷ベース)を発表した。3月単月の乗用車〔多目的車(UV)とバンを含む〕の国内販売台数は、前年同月比3.9%減の27万9,501台となった。2021年度(2021年4月~2022年3月)の国内販売台数は、前年同期比13.2%増の306万9,499台だった(添付資料表1参照)。

自動車販売全体では、3月単月の販売台数合計(乗用車、二輪車、三輪車)は前年同月比17.8%減の149万5,848台だった。2021年度の同合計(商用車を加算)は前年同期比5.9%減の1,751万3,596台となり、低水準にとどまっている。

SIAMの鮎川堅一会長(マルチ・スズキ副会長)はプレスリリースで、過去1年度のインド自動車業界の動向について「バリューチェーンの維持、部品の国産化、コストの管理、新技術への投資、輸出の強化など、これらの課題に懸命に取り組んできた。販売台数は低水準から抜け出しつつある」としたものの、「4つの部門(乗用車、二輪車、三輪車、商用車)の全てで2018年度の水準を下回っている」と厳しい認識を示した。

3月単月のメーカー別乗用車販売をみると(添付資料表2参照)、首位のマルチ・スズキは前年同月比8.4%減の13万3,861台だった。韓国の現代は15.2%減の4万4,600台、起亜は18.4%増の2万2,622台。地場のマヒンドラ&マヒンドラは65.3%増の2万7,603台と販売実績を伸ばした。2021年度のマーケットシェアは、マルチ・スズキ(43.4%)、現代(15.7%)、タタ・モーターズ(12.2%)が上位3社となった。

車種別の販売台数上位を3月の数字でみると、スズキのコンパクトモデル(「スイフト」「ワゴンR」「セレリオ」など計8万2,314台)、現代のコンパクトモデル(「オーラ」「i20」「i10」など計2万649台)、スズキのミニモデル(「アルト」「エスプレッソ」計1万5,491台)だった。

多目的車(UV)では、マヒンドラ&マヒンドラ(「ボレロ」など小型UVが計1万4,959台、「スコルピオ」など大型UVが1万2,380台)がメーカー別で販売実績1位だった。続いて、スズキ(「ジプシー」など小型UVが計1万2,439台、「エルティガ」「エスクロス」など中型UVが1万562台)、現代(中型UV「クレタ」1万532台、小型UV「ベニュー」9,220台)が売れ筋となった。

鮎川会長は長期的な課題について「商用車やSUV(スポーツ用UV)といった一部の部門では需要の改善が見られるが、販売数の多い二輪車や小型車部門では価格問題に直面している」と分析している。実際、原材料の価格上昇などを踏まえ、各社の値上げの動きが見られる(「エコノミック・タイムズ」紙4月18日)。

(倉谷咲輝)

(インド)

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