ブルガリア、ガス調達の多角化を目指す

(ブルガリア、ウクライナ、ロシア、ギリシャ)

ウィーン発

2022年05月09日

ロシア国営ガス会社のガスプロムは4月27日、ブルガリアへのガス供給を完全に停止した。ブルガリア政府がロシア通貨ルーブルによる取引決済(2022年4月7日記事参照)に応じなかったためだとしている。これに対し、ブルガリアのアレクサンダー・ニクロフ・エネルギー相は「ブルガリアは4月分の代金を支払い済みであり、供給停止は契約違反だ。ロシアは契約条件を一方的に変え、これによって生じる為替レートのリスクをバイヤーだけが負うことも容認できない」と述べ、「ブルガリアでの天然ガス消費は少なくとも1カ月先まで保障されており、現時点でガス消費を制限する必要はない」と強調した。

非政府組織「Open Society Institute – Sofia」の4月28日発表のレポートによると、ブルガリアでは2020年時点で1次エネルギー源に占める天然ガスの割合は14%で、EU平均の24%を半分近く下回っている。また、2021年の国内ガス生産量は同国の年間ガス消費量の1%に満たず、残りは輸入に頼っている。ガスは主に地域暖房やガラス、肥料製造業で消費される。ガスによる発電は熱併給発電以外ほとんどなく、家庭の消費もそれほど多くない。ガス需要のピークは冬の暖房期で、11月~翌年4月の半年で総消費量の3分の2を占める。また、地域暖房はガスのほかに燃料油も熱源として使用可能で、いつでもガスから燃料油に切り替えることができる。ガスの備蓄があることや、5月以降はガス需要が減ることなどを理由に、政府はガス危機を回避し、新しい調達先を開拓できると見込んでいる。

3年前まで天然ガスはほぼ全てロシアから輸入していたが、現在は他の供給源が10%弱を占めている。ギリシャの首都アテネ周辺にある液化天然ガス(LNG)ターミナルからのルートや、最近開通したトランスアドリアティックパイプライン(TAP)経由のアゼルバイジャンからのガスなどだ。アゼルバイジャンとは年間10億立方メートルのガス供給契約を結んでいるが、ギリシャの送ガス網とのインターコネクタ(IGB)が未完成のため、これまでのところ、その3分の1しか供給されていない。IGBの年間容量は33億立方メートルで、2022年夏に稼働する予定。それと関連して、ギリシャのアレクサンドル―ポリ港では5月3日、欧州理事会(EU首脳会議)のシャルル・ミシェル常任議長と、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相、ブルガリアのキリル・ペトコフ首相、セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領、北マケドニアのディミタル・コバチェフスキー首相が出席して、同港でLNGターミナル(FSRU、注)建設の着工式が行われた。このプロジェクトはバルカン半島諸国のエネルギー供給に大きな役割を果たすとみられ、2023年に稼働する予定(5月3日付「バルカン・グリーン・エネルギー・ニュース」)。

(注)浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(Floating Storage and Regasification Unit)の略。陸上にLNG基地をつくらず、貯蔵・再ガス化設備を加えた専用船を洋上に係留する。

(ブラティミール・カネフ、エッカート・デアシュミット)

(ブルガリア、ウクライナ、ロシア、ギリシャ)

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