年内にも出国審査でパスポート不要に、生体認証でタッチレス確認

(シンガポール)

シンガポール発

2022年05月25日

シンガポールのテオ・チーヒエン上級相兼国家安全保障調整相は5月17日、2022年後半にも外国人を含む全ての旅行者について、チャンギ国際空港での同国からの出国時の審査を生体認証(バイオメトリクス)のみで行い、パスポートや搭乗券の提示を不要とする計画を明らかにした。テオ上級相は、「(生体認証とすることにより)旅行者にとって手続きが容易になるだけでなく、ポストパンデミック期において安全で、健康に配慮した渡航が可能になる」と指摘した。テオ上級相の発言は同日に開催された非公開のチャンギ航空サミットでのもので、翌18日に首相府が演説文を発表した。

入国管理局(ICA)は2月15日発表の年次報告の中で、2023年末までに空港や港、陸上での出入国時の全ての審査を、外国人を含む全ての渡航者を対象に、有人レーンではなく、自動レーンでの手続きとする目標を明らかにしていた。ICAは原則として顔と眼球の虹彩を認識することにより、本人確認を実施する。これにより、同庁は「旅行者が(機器の)表面を触ることを最小限化し、より効率的に審査ができる」としている。

また、ICAは2019年4月に、パスポートへの出国スタンプの押印を廃止した(2019年4月22日記事参照)が、さらに2022年3月11日から、同国に入国する全ての外国人について、パスポートへの押印代わりに電子メールでの「電子訪問パス(eパス、e-Pass)」を発行している。同庁は年次報告で、eパスの発行によって新型コロナウイルスの感染リスクを抑止し、衛生も確保できると指摘した。

渡航規制の緩和で4月の外国人来訪者、前月比で2倍以上に増加

一方、シンガポール観光庁(STB)によると、2022年4月に同国の外国人来訪者は29万4,300人と、3月の12万1,200人と比べて2倍以上に増加した。同国では4月1日から、新型コロナウイルスの感染状況の沈静化を受けて、渡航規制を大幅に緩和していた(2022年5月12日記事参照)。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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