インフレ対策や製造コスト削減のため、6,195品目の関税を一時的に10%削減

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年05月31日

ブラジル経済省は5月24日、貿易審議運営実行委員会(GECEX)決議353/2022号を官報に公示した。6月1日から施行する。期限は2023年12月31日まで。同決議により、食品、建設資材、資本財、情報通信財などを含む合計6,195品目の関税を10%引き下げる(注1)。対象となる品目リストは同決議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

経済省は、今回の引き下げは、新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ情勢の影響によりインフレが進んでいることを受け、とりわけ低所得層の生活コストや企業の生産・販売コストが上昇していることへの対策、と位置付けている(5月23日付経済省公式プレスリリース)。

ブラジル政府は、2021年11月にも貿易審議運営実行委員会(Gecex)決議269/2021号に基づき、タリフラインの87%の関税を、例外的に、2022年末日まで10%引き下げた(2021年11月18日記事参照)。今回の決議353/2022号には、一部、決議269/2021号でも対象となっている品目が含まれており、よって、結果的に関税が20%引き下がる品目がある。一例として、建設資材として使用される、建築用のブロックおよびれんが(NCM:6810.11.00)の対外共通関税率は8%。6月1日に決議353/2022号が発効すると、関税率は6.4%となる。

経済省は、大規模な2回の関税削減措置(注2)により、ブラジルの対世界輸入額は7,584億レアル(約19兆7,148億円、1レアル=約26円)、企業によるブラジルでの投資額は3,768億レアル増加する可能性がある、と説明している(5月23日付経済省公式プレスリリース)。

(注1)GECEXは、経済省貿易国際問題特別局の貿易関連の政策立案を行う貿易審議会(CAMEX)に属し、ブラジル国内で課せられる関税率を決定する。NCMコードはメルコスールの共通関税番号。最初の6桁はHSコードと同じ。関税同盟であるメルコスールでは、正式加盟国が対外共通関税率を適用しているが、例外的に国ごとに関税率を引き下げることを認めている。GECEX決議353/2022号は、1980年にラテンアメリカ統合連合の設立を定めたモンテビデオ条約、第50条d)「人、動物又は植物の生命又は健康の保護」を法的根拠にしている。

(注2)GECEX決議269/2021号および決議353/2022号

(古木勇生)

(ブラジル)

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