日本人移民設立の大手農機メーカー、最新の無人大型農薬散布機を公開

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年05月11日

4月25日から29日にかけて、ブラジル・サンパウロ州で世界最大規模の農業技術見本市「アグリショー2022」が開催された。

最新の農業関連機器や農業技術を紹介する同見本市において、1932年に日本人移民としてブラジルに渡った西村俊治氏が設立したブラジル大手農業機械メーカーのジャクト(注)が、最新型の無人大型農薬散布機「Arbus 4000 JAV」を展示した。

「Arbus 4000 JAV」は、主にオレンジ畑など柑橘(かんきつ)系の農作物向けの農薬散布機として開発された。ジャクトの4月22日付プレスリリースによれば、「Arbus 4000 JAV」は、カメラのスキャン機能を使い農作物の葉量の変化を識別し、適切な箇所に無駄なく正確に農薬散布を行うことができる。これにより、農薬使用量の削減や農機稼働のエネルギー節約につなげられるという。また、作業者が農機に乗って操縦する必要はなく、コントローラーでの遠隔操作も可能。作業負荷を大きく軽減し、夜間などにも作業時間を拡大できる。

また、「Arbus 4000 JAV」には、障害物に衝突する前にアラートを出し、作業を一時停止する機能もある。これにより、操縦者が遠隔で障害物を確認してから農機の稼働を再開、もしくは停止させられる安全性も備わっている。

ジェトロは4月26日、同見本市で「Arbus 4000 JAV」の強みを聞いた。ジャクトの研究開発エンジニアであるブルーノ・カレガロ氏は「生産性の向上に加え、農薬散布にかかる作業者への安全や負担を取り除ける。国産としては初の無人大型農薬散布機。ジャクトの理念に基づき独自開発したモデルだ」と述べた。

写真 Arbus 4000 JAV(斜め前方から)(ジェトロ撮影)

Arbus 4000 JAV(斜め前方から)(ジェトロ撮影)

写真 Arbus 4000 JAV(横から)(ジェトロ撮影)

Arbus 4000 JAV(横から)(ジェトロ撮影)

写真 農薬散布のイメージ図(ジェトロ撮影)

農薬散布のイメージ図(ジェトロ撮影)

写真 コーヒー収穫機の最新モデルK3000(ジェトロ撮影)

コーヒー収穫機の最新モデルK3000(ジェトロ撮影)

(注)同社は1948年に設立。ブラジル国産として初となる背負い式の農薬噴霧器を開発。1973年には世界初となるコーヒー収穫機を開発するなど、農業界の技術革新や人材育成に貢献してきた。アグリショー2022では、「Arbus 4000 JAV」のほか、ブラジル初となるハイブリッド型(ディーゼルと電気)の大型駆動式播種(はしゅ)専用機(49もしくは61連用)「Uniport Planter 500」も展示した。

(古木勇生)

(ブラジル)

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