バイデン米政権、国内のバッテリーサプライチェーン構築に向け31億ドルの助成を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月10日

米国エネルギー省(DOE)は5月2日、インフラ投資雇用法に基づき、米国内における電気自動車(EV)用バッテリーのサプライチェーン構築に向けた合計31億6,000万ドルの助成金プログラムを開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(助成金公募番号:DE-FOA-0002678、DE-FOA-0002680外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。これは、ジョー・バイデン大統領が2021年2月に署名した「重要製品のサプライチェーンに関する大統領令」(2021年2月26日記事参照)を具体化したもので、国内におけるバッテリーの調達および生産体制の強化を通じて2030年までにEV販売割合を全車両の50%以上にするという同大統領が掲げるEV化目標の早期達成を促す。エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は「バイデン大統領のバッテリー生産とリサイクルへの歴史的な投資は、クリーンエネルギー経済を強化、高給の雇用を創出し、輸送部門の脱炭素化を推進することで、より安全で他国への依存を減らすために必要な国内のサプライチェーンの構築に寄与するものだ」と述べた。

今回発表された助成金プログラムは、エネルギー省などが2030年までに国内のバッテリーサプライチェーン確立を目指すため2021年6月に作成したガイダンス「リチウムバッテリーに関する国家計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を基礎としている。助成金額は「バッテリー材料の処理およびバッテリー製造」に関する事業に31億ドル、「バッテリーのリサイクルおよび再利用」に関する事業に6,000万ドルとなっており、対象事業については、前者が国内におけるバッテリー材料の処理施設やバッテリー(部品を含む)の製造施設、リサイクル施設の新設、改修および拡張プロジェクトなど、後者がリチウムイオンバッテリーをリサイクルするための材料の分離、スケールアップ、再統合に関するプロジェクトなどとなっている。助成金の受領資格は、国内の企業、地方自治体、高等教育機関、NPOなどを含む事業体と個人(米国籍およびび永住権保有者)で、外国の事業体が主な受領者となる場合は、米国内の子会社などを指定する必要がある。また、DOEが提供する「パートナーリスト」を利用することで、応募者間でパートナーシップを組むことができる。募集期間は「バッテリー材料の処理およびバッテリー製造」が2022年7月1日、「バッテリーのリサイクルおよび再利用」が2022年7月19日までだが、申請に先立ち応募の意思を示すための書簡(Letter of Intent)を提出する必要がある。

(大原典子)

(米国)

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