各地の防疫対策の影響で、ボッシュ中国の生産能力は30~75%にとどまる

(中国)

上海発

2022年05月17日

自動車部品大手のボッシュ中国は5月10日、オンラインで記者会見を開催した。その中で同社は、2022年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ボッシュが生産拠点を設置している陝西省西安市、江蘇省蘇州市、吉林省長春市などが相次いで影響を受けたが、その過程で防疫措置と閉鎖型生産に関する貴重な経験が蓄積できたと述べた。

足元の状況については、感染拡大や物流上の問題によって原材料不足に直面し、生産能力面での制約が生じていることや、上海市と江蘇省太倉市にある3つの自動車部品工場、上海市嘉定区のボイラーなどの製造工場は防疫対策のため依然として閉鎖型生産を行っていると説明した。

陳玉東総裁は5月10日、各工場や製品によって状況が異なるが、操業再開後の稼働率は約30%から75%の間にとどまっており、完全な生産停止ではないが、市場の需要を満たせていないという問題に直面しているとした。その上で、自動車サプライチェーンは多くの企業が密接に関わっているため、操業再開が認められる「ホワイトリスト」に含まれていない可能性があるティア4、5のサプライヤーが再稼働できなければ、自社の生産も影響を受けるとしている(「毎日経済新聞」5月10日)。

上海市経済信息化委員会の呉金城主任は5月13日の記者会見で、全市の9,000社以上の一定規模以上の工業企業のうち、半数近い4,400社以上が既に再稼働したと発表した。そのうち、3回にわたる「ホワイトリスト」制定を通じ、3,000社以上のリスト掲載企業の再稼働を推進し、リスト掲載企業の再稼働率は70%以上に、特に第1弾の「ホワイトリスト」掲載企業666社の再稼働率が95%を超えた。また「ホワイトリスト」入りしている外資系企業数は847社で、再稼働率は80%に達したとしている。

一方、上海市内の上場企業の半数近くは稼働率30%にとどまっている状況から(2022年5月16日記事参照)、稼働再開が必ずしも稼働率上昇に結び付いていない可能性も指摘される。

(高橋大輔)

(中国)

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