コロナ禍収束に向けてアジア系に対する認識が改善、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2022年05月11日

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは、5月9日に米国におけるアジア系に対する認識についての調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)を発表した。

今回の調査では、アジア系に対する暴力について、アジア系の約6割(63%)が「増加している」と感じているという。「変化がない」という回答は19%、「減少している」は8%だった。

2021年4月時点での調査では、アジア系の81%がアジア系に対する暴力が増加したと回答しており、それと比較してアジア系に対する暴力が増加したとする割合は18ポイント減少した。

2021年の調査時点で、アジア系に対する暴力の増加の要因として挙げられた(自由形式の回答)のは、ドナルド・トランプ前大統領、人種差別、新型コロナウイルス感染拡大とその国家への影響、コロナ感染拡大の原因としてアジア系をスケープゴートとして非難したことなどだ。今回の調査結果からは、コロナ禍が収束に向かう中、アジア系に対する認識が改善しつつあることがうかがえる。

とはいえ、アジア系の多くが人種や民族性を理由に脅迫または攻撃されることを心配していることが浮き彫りになった。「毎日心配している」は7%、「ほぼ毎日心配している」は14%、「時々心配している」は51%となった。一方、「めったに心配しない」は18%で、「全く心配しない」は10%にとどまった。

また、アジア系の3分の1強(36%)は、脅迫または攻撃の可能性を懸念して、過去1年間に毎日のスケジュールまたは習慣を変更したという。

さらには、アジア系だけではなく、黒人の3分の1弱(32%)、ヒスパニック系の14%が、人種や民族によって脅迫または攻撃される可能性があることを毎日またはほぼ毎日心配しているという。一方で、白人ではその割合はわずか4%となっている。

ジョー・バイデン大統領は2021年5月、新型コロナウイルスの感染拡大後に増加したアジア系住民らへの憎悪犯罪について、対策を強化する法案に署名し、関連法が成立した。アジア系の約半数(48%)は、憎悪犯罪に対する法律の強化が最も効果的な政策としている。

米国のローンチ財団によるアジア系を取り巻く状況に関する調査結果は、2022年5月11日記事参照。

(注)調査時期は、2022年4月12~18日。対象者は、全米の成人1万156人(アジア系365人を含む)。

(松岡智恵子)

(米国)

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