米国民の7割強がアジア系は米国に恩恵与えたと回答、新型コロナでは一部責任を求める声増加、米アジア系財団調査

(米国)

米州課

2022年05月11日

アジア系米国人の地位向上を目的に活動する非営利団体のローンチ財団(LAAUNCH Foundation)は5月5日、2月10~28日に実施した世論調査の結果を公表したPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)。

本調査によると、回答者の7割以上(民主党支持者の71%、共和党支持者の75%、無党派の72%)が「アジア系は米国に恩恵をもたらしてきた」と考えており、アジア系に対して好意的な反応を示している。特に、経済(28%)、学術(21%)、医療(13%)分野におけるアジア系の貢献を挙げる人が多かった。テレビや映画でもっとアジア系の作品を観たいと答えた人も71%に上り、ローンチ財団は、「イカゲーム」や「シャン・チー/テン・リングスの伝説」「クワンティコ/FBIアカデミーの真実」などのドラマ・映画が、米国人のアジア系に対する関心を高めていると分析している。

一方、米国の人種問題について、状況が「過去5年間で悪化した」と感じている人は50%、「変わっていない」が26%、「改善している」が20%、「わからない」が4%だった。人種別にみると、悪化したと感じている人の割合が最も高かったのは白人(53%)で、ラテン系(41%)よりも12ポイント高かった。

どの人種が差別を受けていると感じるかとの問い(重複回答可)に対しては、アジア系と答えた人(56%)が黒人(62%)に次いで多く、ラテン系(53%)を上回った。他方、アジア系差別は対処されるべきと考える人の割合は72%に上った。

また、新型コロナウイルスの流行に関して、アジア系が「少なくとも部分的に責任を負うべき」と答えた人が22%で、2021年の調査(11%)よりも高くなった。カリフォルニア州立大学サンバーナディーノ校の調査によると、米国の主要8都市におけるアジア系市民への憎悪犯罪は、2021年に前年比約4.4倍を記録しており、新型コロナウイルスが流行して以降、増加傾向にある。政治専門誌「ポリティコ」とハーバード公衆衛生大学院が2021年6月22~27日に実施した世論調査でも、回答した米国人の52%が「中国の研究所が新型コロナウイルスの起源」と信じており、アジア系への印象を悪化させる要因となっている。

(注)対象者は18歳以上の米国居住者5,113人で、そのうち白人またはコーカソイドが2,840人、黒人またはアフリカ系が888人、ラテン系またはヒスパニックが1,023人、アジア人またはアジア系が1,074人(重複を含む)。調査はオンラインで実施された。

(片岡一生)

(米国)

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