トルコの第1四半期貿易収支、エネルギー価格の高騰などで悪化

(トルコ、ロシア、ウクライナ)

イスタンブール発

2022年05月09日

トルコ統計機構(TUIK)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月29日付、暫定値)によると、2022年第1四半期(1~3月)の輸出は前年同期比20.6%増の602億101万ドル、輸入は42.0%増の866億714万ドルで、輸入超過により、貿易赤字は2.4倍の264億612万ドルとなった。ロシアのウクライナ侵攻の影響による原油価格や商品価格の急騰が通貨トルコ・リラ安による輸出競争力の上昇以上に影響を及ぼしたものと考えられる。

輸入を品目別にみると、最大の輸入品目の鉱物性燃料が、国際エネルギー価格の高騰と通貨安の影響で、前年同期に比べて3倍近く急増した(添付資料表1参照)。国内の電力・ガス価格も上昇しており、生産コストの急騰が続いている。また、世界的に原材料価格も上昇し、鉄鋼も38.5%の増加となった。その他、アルミニウム・同製品(2.1倍)、有機化学品(57.5%増)、プラスチック製品(35.6%増)などの伸びが著しい。他方、金を中心とする貴金属類(24.2%減)、自動車・同部品(16.9%減)、電気機器(5.6%減)は前年同期比でマイナスとなった。

国・地域別の輸入では、天然ガスを主力とするロシアからの輸入が倍増した。その他、中国が36.4%増、インドも倍増した(添付資料表2参照)。EUからも20.6%増だった。

輸出を品目別にみると、鉄鋼が前年同期比49.9%増で最大の寄与となった。鉱物性燃料(78.5%増)、プラスチック製品(34.0%増)、鉄鋼製品(39.5%増)も大きく伸びた。他方、主要品目のうち、自動車・同部品(3.6%減)、金を中心とした貴金属類(10.2%減)は減少した(添付資料表3参照)。

輸出を国・地域別にみると、全体の42.7%を占めるEU向けが21.5%増となった(添付資料表4参照)。EUではドイツ、イタリア、スペイン、オランダ向けが好調だった。また、米国(31.3%増)、英国(13.3%増)なども大きく増加した。他方、アラブ首長国連邦(32.9%減)、ロシア(1.3%減)、中国(1.4%減)向けは前年同期比でマイナスだった。

トルコ政府は、経常収支の黒字化と、2021年の1年間で約44%の減価となった通貨トルコ・リラへの圧力を緩和させるために、新しい経済プログラムで輸出主導の成長を掲げていた。しかし、2022年3月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが前年同月比で61.1%の上昇となるなど、激しいインフレが続いている。エネルギーやその他の商品コストが急上昇する中で、中央銀行の低金利政策が輸入の急速な増加につながっているという指摘もある。

政府は、通貨の防衛強化に向け、輸出業者の外貨収入の中央銀行への売却比率を25%から40%に引上げるなど、外貨準備の積み上げに向けた対策を講じている。5月上旬時点で、リラは対ドルで14リラ台後半を維持しているが、ロシアのウクライナ侵攻の影響により、貿易収支の悪化を懸念する向きもある。

(中島敏博)

(トルコ、ロシア、ウクライナ)

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