記録的酷暑、電力逼迫と小麦輸出禁止の引き金に

(インド)

ニューデリー発

2022年05月27日

インド北西部や中部で、3~5月にかけて記録的な酷暑が観測されている。気象局によると、同国北西部・中部における2022年4月の平均最高気温はそれぞれ36.32度、38.04度と、いずれも1901年以降の観測史上、最高値を記録した。5月に入っても首都ニューデリーをはじめとする各地で最高気温が40度を超える日々が続いている。

記録的な酷暑は、経済活動に影響を与えている。特にエネルギー面では、猛暑に伴う電力需要の拡大に供給が追い付かず、ラジャスタン州やグジャラート州など各地で計画停電や使用量の制限が呼びかけられている(2022年5月13日記事2022年5月17日記事参照)。

電力供給不足の主な要因は石炭不足だ。インドでは総発電容量の半分以上が石炭火力発電所によって占められ、石炭の約8割が国内で調達される。国内消費が供給量を上回っているため、電力省は4月28日、今般の国産石炭の逼迫を受け、各州政府と州発電公社に対し、10月末までの期間中、最低10%は輸入石炭をブレンド(混炭)することを要請した。しかし、輸入石炭の市場価格はウクライナ情勢の長期化を受けて高騰しており、国産石炭に比べて2倍以上であることから、一部の州の動きは鈍いのが実態だ。

前例のない熱波の影響は農業にも及ぶ。商工省は5月13日、従来の輸出拡大方針から一転して、食料安全保障や物価上昇を理由に小麦の輸出を原則禁止すると発表した。インド北西部・中部は小麦の主要産地で、例年3~5月は小麦の収穫期に当たるものの、猛暑による小麦の不作が危ぶまれている。世界で中国に次ぐ小麦生産国であるインドは2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)当初、ウクライナ情勢の長期化よる世界的な小麦需要の高まりを受け、今年度の小麦輸出量を前年度比1.4倍の1,000万トンにまで拡大させるとしていた。

今回の方針転換は、13~14日にドイツ・シュツットガルトで開かれたG7農業大臣会合でも波紋を呼んだ。G7各国は、ウクライナ情勢の長期化に伴う食料安全保障は国際社会が共同で取り組むべき課題との認識で一致。これを踏まえ、ドイツのジェム・オズデミル食料・農業相は13日の記者会見で、「インドがG20の一員として責任を果たすよう求める」と述べた(AFP通信5月14日)。

(広木拓)

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