2022年1~3月の経済成長率8.3%、予測より好調

(フィリピン)

マニラ発

2022年05月24日

フィリピン統計庁(PSA)は5月12日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前年同期比で8.3%と発表した(添付資料表参照)。前年同期のマイナス3.8%からプラスに転じた。現地経済紙である「ビジネスワールド」紙が民間エコノミストを対象に行った調査では、成長率予測値の中央値は6.7%となっており、市場関係者の予測を上回る結果となった(「ビジネスワールド」紙2022年5月13日)。また、フィリピン国家経済開発庁(NEDA)は5月12日、GDPの水準が「新型コロナ禍」前を超えたと明らかにした。

需要項目別にみると、前年同期比で国内総固定資本形成が20.0%、輸出が10.3%、民間最終消費支出が10.1%増加した。なお、「新型コロナ禍」以降、民間最終消費支出の増加率が10%を超過するのは今回が初めてである。NEDAは2月1日から3月末まで、経済活動が活発な地域をはじめとして、新型コロナウイルス感染対策の制限措置を緩和していったことにより、経済成長と公衆衛生とを両立することができたとしている。

産業別では、前年同期比で鉱工業などが10.4%、サービス業は8.6%と高い増加率を記録した。一方、農林水産業の増加率は0.2%にとどまった。

サービス業の中では、宿泊、飲食が21.0%と特に高い伸び率を達成した(前年同期はマイナス22.5%)。2月以降、フィリピン国内での経済活動・移動制限が緩和されたことで、消費者の生活様式が変化し、宿泊、飲食の回復につながった可能性がある。加えて、フィリピン政府は2月10日より、日本などからの渡航について新型コロナワクチン接種完了者は無査証での入国を可能とする渡航制限緩和措置を実施している(2022年2月3日記事参照)。渡航制限緩和により、宿泊などをはじめとする観光産業の活性化をフィリピン政府は期待している。

国外を起因とする経済ショックを警戒

フィリピン政府は2022年通年での経済成長率目標を7~9%としている。目標とする成長率を達成するべく、NEDAはロシア・ウクライナ紛争や中国経済の減速、米国の金融政策の正常化といった外的なリスクに対して注意していく姿勢をみせている。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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