SiCチップ工場が間もなく完成、広州南沙区での半導体関連投資相次ぐ

(中国)

広州発

2022年05月27日

広州市南沙区では5月17日、同区における新たな半導体産業の投資プロジェクト9件の調印が行われた。9件の総投資額は300億元(約5,700億円、1元=約19円)に上る。近年南沙区には、広東芯粤能半導体、晶科電子、聯晶智能といった中国の半導体のリーディングカンパニーの集積が進んでいる。

今回のプロジェクトの中では、浙江省の自動車大手吉利汽車が出資する車載半導体メーカーの広東芯粤能半導体によるシリコンカーバイド(SiC)チップ(注)工場の設立が主要な案件となる。同工場は2021年から建設を開始しており、第1期工場完成後に生産される製品の年間付加価値額は40億元(約760億円)、第2期工場と合わせると年間100億元(約1,900億円)に達する予定。同工場では主にSiCショットキーバリアダイオード(SBD)、SiC-MOSFETなどを生産し、新エネルギー車や充電スタンド、太陽光発電などの分野に使用される。

同工場完成後は、化合物半導体の設計、製造、測定、応用まで含むサプライチェーンが広州市南沙区で完成することになる。

なお、吉利汽車は2021年8月、ローム(本社:京都府京都市)と、SiCパワーデバイスを中心とした自動車分野の先進的な技術開発における戦略的パートナシップを締結している。

(注)シリコン(Si)と炭素(C)で構成される化合物半導体。従来のシリコン半導体よりも高いエネルギー効率で、小型化、軽量化、コストダウンを可能にする。

(朱冬青)

(中国)

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