日本品種のサツマイモをバングラデシュで生産販売、ナルトジャパンの取り組み

(バングラデシュ、日本)

ダッカ発

2022年05月06日

バングラデシュは、総人口約1億7,000万人を有する大農業国で、国内市場の可能性も大きく、近年、多くの日系企業からも注目を浴びている。この度、バングラデシュで縫製工場を運営する丸久パシフィックの親会社の丸久(本社:徳島県鳴門市)は、新会社ナルトジャパンを立ち上げた。バングラデシュで日本品質のサツマイモを栽培し、この4月からバングラデシュ国内で販売を開始した。ナルトジャパンの小林剛マネージング・ディレクターに同社の取り組みについて聞いた(4月21日)。

(問)ナルトジャパンの取り組み背景について。

(答)当社の関連会社である丸久パシフィック(本社:徳島県鳴門市)は、2010年から(バングラデシュの首都)ダッカ郊外のアダムジー輸出加工区(EPZ)に編み立てから染色、縫製までの作業を行う一貫工場を運営、衣料品を製造し、日本へ輸出している。2017年、バングラデシュ政府から丸久に対し、農業事業への参画を要請され、事業を検討した。本社がある徳島県鳴門市では「鳴門金時」が有名なため、サツマイモに関する事業ができないか検討した。バングラデシュで長らく縫製工場を運営していることへの恩返しの思いもあった。

2018年、鳴門金時と同品種の「高系14号」の種芋を日本とバングラデシュ双方の政府から許可を得て輸入し、バングラデシュで栽培を開始。当地で生産されたサツマイモの品種を「金時美人」(Kintoki Bijin)と命名し、現在、バングラデシュでの商標登録も申請中だ。

(問)ナルトジャパンの事業内容について。

(答)当社では、サツマイモ「金時美人」をバングラデシュ国内で生産、販売している。当初は、バングラデシュで栽培したサツマイモを国内で加工し、日本に輸出する事業計画だったが、地場企業との話がまとまらず、タイに輸出して加工する方法に方向転換した。しかし、2021年10月からタイの食品輸入規制が強化され、生鮮青果物を輸入する際に「グローバルGAP」や「ISO 22000」などの食品安全認証がなければ、免税での輸入ができなくなった。これを受け、事業計画を再度切り替え、2022年3月にバングラデシュでの国内販売に大きくかじを切った。

現在、バングラデシュ北部の260の契約農家からサツマイモを調達している。契約農家に対しては、7人のスーパーバイザーを配置し、日本からも定期的に出張者が訪問した上で、苗作りや定植などの栽培技術に関する支援、肥料や農薬などを提供している。ちょうど3~4月の収穫期を迎え、国内販売を順次進めている。現時点では、外国人が多く訪れるジャーマンブッチャー、コリアンマート、ソウルマートなどで「金時美人」を展開している。また、地場大手スーパーマーケットのショプノでも「金時美人」のテスト販売を始めたところ、良好な反応が得られ、既にリピートオーダーも受けている。今後もスーパーマーケットなどを中心に、販売網の拡大を行っていきたい。

(問)この事業の課題は。

(答)バングラデシュにおける「金時美人」の知名度向上と販売チャネルの開拓、販売数量拡大に向けた安定した収穫量の維持・拡大、品質を担保する安定保存・安定供給などが大きな課題だ。通常、バングラデシュでは、野菜はキロ単位の量り売りが主流だが、当社はプロモーション価格で1キロパック150タカ(約225円、1タカ=約1.5円)で、日本品質のサツマイモとして販売し、差別化している。ローカルのサツマイモは、1キロ40~100タカまでかなり価格差があるため、今後は時期により価格を変動させることも検討している。また、3~4月に収穫されたサツマイモは、最大6カ月間の冷蔵保存が可能だが、10月から翌年2月までは供給がなくなるため、遊休期間への対応が必要となっている。加えて、現状の顧客層は韓国人や日本人が大部分なため、ローカルに対する販売も増やしていきたい。

(問)今後の取り組みについて。

(答)販売網の拡大が第1だが、チップスや芋ケンピなどの加工品を試作し、テストマーケティングを進めて、可能性があれば加工品販売も開始したい。さらに、ドバイ、マレーシア、シンガポールなどの有望市場の需要を踏まえ、将来的に輸出も検討している。バングラデシュ政府は、農産品や食品加工品の輸出を奨励しているため、この事業を通じてバングラデシュへの貢献もできると考えている。

写真 ショプノの店頭に並ぶ「金時美人」(ナルトジャパン提供)

ショプノの店頭に並ぶ「金時美人」(ナルトジャパン提供)

(安藤裕二)

(バングラデシュ、日本)

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