食品加工・生産・処理技術の総合見本市がリアル開催、日本企業の出展も

(ドイツ、日本)

デュッセルドルフ発

2022年05月18日

ドイツ西部の都市ケルンで4月26~29日、「アヌーガ・フードテック2022」がリアルとオンラインのハイブリッドで開催された。アヌーガ・フードテック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは3年に1度開催される食品の生産・加工・処理技術に関する総合見本市だ。2021年開催の予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大のため2022年に延期されていた。

アヌーガ・フードテック2022には、日本を含む44カ国から1,034社が出展した。うちドイツ国外からの参加は617社で全体の約6割を占めた。来場者は120カ国から2万5,000人以上で、国外からの来場者は57%を占めた。新型コロナ前の前回2018年の実績(出展者数:48カ国1,657社、来場者数:152カ国5万人超)からは減少した。26日の開会式に参加したジェム・オズデミル食料・農業相は、気候危機の影響により南スーダンで飢饉が起きていること、ドイツでは毎年1,200万トンの食糧が廃棄されていることに言及し、「未来の食糧システムは循環型で持続可能な生産とする必要があり、そのためにはイノベーションや実用可能なスマートなアイディアが必要だ」とした。

日本からの出展は2社だった。大阪府に本社を置くナカキンは、食品工場などで液体を扱う製造ラインで必要なロータリーポンプを展示した。ナカキンヨーロッパ事務所の芦田洋一郎所長によると、同社のロータリーポンプはステンレス製で衛生面に優れ、部品の洗浄やメンテナンスが容易であり、他社製品と比較すると長期使用しても腐食などの劣化が起こりにくいという。

写真 ロータリーポンプを展示するナカキンのブース(ジェトロ撮影)

ロータリーポンプを展示するナカキンのブース(ジェトロ撮影)

埼玉県に本社を持つエフ・イー・シーは東京都の日東金属工業と共同で出展。エフ・イー・シーのギアのない歯車の紹介や、日東金属工業のステンレス容器を展示した。日東金属工業技術部企画課の赤間龍課長は「当社の容器はきれいな素材のステンレスを筒状にして溶接する製法のため、極力研磨を防ぐことで洗浄時間を削減でき、耐久性も優れる。会期中は他社のステンレス容器を使用する企業から相談や質問を受けるなど、手ごたえを感じている」とコメントした。また、両社の欧州展開を支援する東京都のカラ・コンサルティングの代表のカラ・アタカン氏は「両社とも競争力のある製品を製造しており、会期中は多くの来場者の関心を引きつけることができた」と話していた。

写真 エフ・イー・シーと日東金属工業のブース(日東金属工業提供)

エフ・イー・シーと日東金属工業のブース(日東金属工業提供)

次回のアヌーガ・フードテックは2024年3月19~22日にケルンで開催予定。

(作山直樹)

(ドイツ、日本)

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