米カリフォルニア日系企業の3割が州外からの人材雇用を検討、日系企業実態調査

(米国)

サンフランシスコ発

2022年05月30日

ジェトロは、在カリフォルニア州の日系企業の動向を把握することを目的に、2月18日から3月16日にアンケート調査を実施した(注1、添付資料参照)。調査結果によると、回答企業の3割近く(28.5%)がリモート勤務を前提に、カリフォルニア州外からの人材の採用を検討していることが明らかになった。

人材の採用を検討するにあたり、候補者の居住地としては、テキサス州、アリゾナ州、全米、さらには日本などが挙げられた。実際、カリフォルニア州の日系企業によれば、「オフィスは同州内に維持しているものの、採用は州内にこだわらず全米で行っている」「山岳部時間(注2)の地域在住の候補者は、カリフォルニア州(特に北カリフォルニア地域)に比べると人件費が安く、想定する人材を採用できる可能性がある。西海岸との時差も1時間と少ない」などの声も聞かれた。また、現地で採用した従業員の勤務形態については、回答企業の5割前後が「完全リモート勤務」(54.6%)、「時間差出社」(51.0%)、「フレックスタイム勤務」(49.8%)を導入済みだった。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、優秀な人材の確保に向けて、各社が柔軟な勤務体制を導入している状況がうかがえる。

今後1~2年の投資・事業計画に関し、「既存拠点を拡張(設備の購入を含む)」と回答した企業は26.0%だった。拠点の「縮小・閉鎖、撤退」(3.2%)や「州外への移転」(1.8%)を選択した企業は少数だった。また、46.2%の企業が今後1~2年の間に現地従業員を「増員予定」と回答した。

同州のビジネス環境の課題については、「家賃など生活コストの高さ」(88.8%)、「従業員の採用・定着の難しさ」(55.3%)、「法人税など税金の高さ」(48.1%)が上位に挙がった。不動産情報サイトのザンパー(Zumper)によると、サンフランシスコ・ベイエリアにおける2022年5月時点での1ベッドルームの家賃(1カ月当たり、中間値)は、サンフランシスコ市(2,900ドル、前年同月比9.4%増)、キャンベル市(2,810ドル、同37.1%増)、サニーベール市(2,690ドル、同34.5%増)と、州の中央値(2,022ドル、4月時点)と比較しても高水準で、前年同月比でも上昇傾向がみられる。

(注1)回答企業数:695社。調査対象企業:(1)日本企業が10%以上出資(間接出資を含む)している現地法人とその支店・駐在員事務所、(2)日本に本社のある企業の支店・駐在員事務所、(3)日本国籍保持者または日系米国市民が設立し運営している企業。実施機関:在サンフランシスコ日本総領事館、在ロサンゼルス日本総領事館、北加日本商工会議所(JCCNC)、南カリフォルニア日系企業協会(JBA)、ジェトロ・サンフランシスコ、ジェトロ・ロサンゼルス。

(注2)アリゾナ州、コロラド州、ニューメキシコ州、モンタナ州、ユタ州、ワイオミング州のほか、これらに隣接する州の一部地域が含まれる。

(石橋裕貴)

(米国)

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