トラス英外相、世界の安全保障に関する新たなアプローチ発表

(英国、ウクライナ、ロシア、世界)

ロンドン発

2022年05月06日

英国のエリザベス・トラス外務・英連邦・開発相は、4月27日、ロンドン市長公邸(マンションハウス)で行った演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえた世界的な安全保障に関する新たなアプローチを発表した。概要は以下のとおり。

○軍事力

6月下旬にマドリードで開催されるNATO首脳会議を前に、ポーランドなどの東部諸国に駐留軍を増やし、防衛協力を強化する。フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟申請した場合、可能な限り早急に統合を進める。欧州・大西洋とインド太平洋の双方の安全を保障する。世界的な脅威に対応できるよう、NATOにより世界的な視点を持たせる。ウクライナのみならず、西バルカン諸国やモルドバ、ジョージアに対しても、自国の主権と自由を維持するための強靭(きょうじん)性と能力を構築できるよう支援する。インド太平洋地域についても、日本やオーストラリアといった国と連携し、インド太平洋地域の保護に取り組む。これらの取り組みに向けて、英国としても軍への投資拡大などで対応する。

○経済安全保障

世界経済の安全保障確保のためには、自由貿易のルールに従わない者には国際経済へのアクセスを拒否するべき。ロシアへの制裁がこれに当たるほか、ウクライナへの侵攻に関してロシアを非難しておらずに、リトアニアに対する貿易制限措置などを行っている中国についても対象となり得る。また、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への加盟や、インドやインドネシアなどの新たな国との自由貿易協定(FTA)締結など、新旧の同盟国とより緊密な連携を図る。さらに、科学技術に関する知識の共有や、低所得国の開発促進に向けてひも付きでない投資を行う。

○グローバルな同盟関係の深化

「ネットワーク・オブ・リバティー」の名の下、NATOやG7、英連邦など重要な役割を果たす2国間や多国間パートナーシップを強化。合同遠征軍(JEF、注1)、ファイブアイズ(注2)、AUKUS(注3)を通じてNATOの同盟関係を強化するほか、日本やインド、インドネシアとの結びつきを深める。英国は、主権・独立を維持しながら、共有された繁栄の基礎となる、世界に広がるパートナーシップ網の一端を担う。

(注1)英国、デンマーク、フィンランド、エストニア、アイスランド、ラトビア、リトアニア、オランダ、スウェーデン、ノルウェーの10カ国の遠征軍。英国が主導。

(注2)UKUSA協定締約国である英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドによる同協定に基づく機密情報を共有する枠組み。

(注3)米国、英国、オーストラリアが2021年9月に発表した新たな安全保障協力の枠組み。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国、ウクライナ、ロシア、世界)

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