米ユタ州、新たなエネルギー計画発表、水素も活用

(米国)

ロサンゼルス発

2022年05月11日

米国ユタ州のスペンサー・コックス知事と州エネルギー開発局は5月10日、「エネルギーとイノベーション計画(State Energy and Innovation Plan)」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同計画は6つのコミットメントを定めており、その1つとして「ユタ州は、重要な鉱物の強力かつ責任ある採掘プログラム、水素や貯蔵およびエネルギー効率といった新興エネルギー技術への投資、大気質の研究と奨励プログラムを通じて、クリーンエネルギーの未来を支えることに力を注ぐ」と記載している。

ユタ州は2008年3月に「エネルギー資源、炭素排出量削減イニシアチブ(Energy Resource and Carbon Emission Reduction Initiative)」を制定しており、全ての電気事業者に対して、再生可能エネルギーが費用対効果に優れている場合はその利用を追求することを義務付ける「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(Renewable Portfolio Standard)」を定めている。各電力会社は、2025年までに調整後の電力小売売上高の20%を適格な再生可能エネルギー源から発電することを目標としている。再生可能エネルギー源には、太陽光や風力、地熱、水力などとともに、水素も含まれている。

ユタ州は水素の活用に積極的な動きを見せており、関連するプロジェクトには日系企業も参画している。2020年3月に三菱パワー(当時:三菱日立パワーシステムズ)は同州の協同組合のインターマウンテン電力(Intermountain Power Agency)が計画する水素を利用したガスタービン・コンバインドサイクル発電プロジェクトに関連して、84万キロワット(kW)級の発電設備を受注したと発表した。2025年に水素混焼率(体積比による混合比率)30%で運転を開始し、2045年までに水素100%での運転を目指すとしている。また、マグナムデベロップメント(Magnum Development)が運営するユタ州の岩塩坑に、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用した水の電気分解により取り出した水素などを貯蔵して、発電をはじめとするエネルギー生産に活用する先進的クリーンエネルギー貯蔵事業でも、三菱パワーは2019年に同社と提携し、100万kWのエネルギー貯蔵施設の開発を目指している。

このほか、ユタ州は2022年2月にコロラド州やニューメキシコ州、ワイオミング州とともに覚書に署名し、インフラ投資雇用法に基づいて割り当てられた資金を用い、各州に支援施設を備えた西部州間水素ハブの開発に向け協働することに同意している。

(永田光)

(米国)

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