洪水などの防災対策としてスポンジ都市の建設進む

(中国)

上海発

2022年05月10日

中国住宅都市建設部は4月29日、「スポンジ都市(中国語では海綿都市)建設に関する要求のさらなる明確化に関する通知」を発表した。スポンジ都市は、都市がスポンジのように環境変化に適応し、雨水による自然災害に対応するなどの面で良好な弾力性を有し、水弾性都市とも呼ばれる。第14次5カ年(2021~2025年)規画と2035年までの長期目標綱要でも、自然災害対応レベルを顕著に向上させる取り組みとして、スポンジ都市建設を推進している。

通知では、スポンジ都市建設に向けた主な目標に関し、都市の冠水を緩和することを重要な取り組みの1つに掲げ、冠水防止設計の再現期間(注)内の強い降雨に効果的に対応することができ、都市が気候変動に適応し、豪雨災害を防ぐなどの面で良好な「弾力性」と「靭(じん)性」を持つこととしている。

スポンジ都市の建設については、2021~2023年にモデル都市を選定し、モデル都市には建設に当たって中央財政から補助金が支給されることとなっている(添付資料表参照)。ただし、補助金の対象となるのは、各省・直轄市・自治区で1回の選定で2都市まで、第14次5カ年規画の期間中に4都市までとなっている。補助金は取り組みの推進状況を踏まえ、3年間に分割して支給するとしている。

2021年4月にモデル都市の第1回募集が行われ、河北省唐山市、山西省長治市、吉林省四平市、江蘇省無錫市、宿遷市、浙江省杭州市、安徽省馬鞍山市、福建省龍岩市、南平市、江西省鷹潭市、山東省イ坊市、河南省信陽市、湖北省孝感市、湖南省岳陽市、広東省広州市、汕頭市、四川省瀘州市、陝西省銅川市、甘粛省天水市、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の20都市が選ばれた。また、第2回のモデル都市選定作業は2022年4月8日に開始され、5月10日までに省レベルの財政、住宅建設、水利部門が関連資料と推薦する都市のリストを財政部、住宅都市建設部、水利部に提出することとなっている。

2021年7月には河南省鄭州市で、豪雨と洪水によって地下鉄などが水没するなどの大きな被害が発生した(2021年7月21日記事参照)。気候変動に伴うこうした自然災害への備えとして、中国各地でスポンジ都市の建設が進められていくものと思われる。

(注)ある現象が平均的に何年に1回起きるかを表した値。確率年やリターンピリオドともいう。

(高橋大輔)

(中国)

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