IPEF立ち上げによる労働者・小規模企業への恩恵を強調、米ホワイトハウス

(米国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

米州課

2022年05月24日

米国のジョー・バイデン大統領が5月23日、日本を含む12カ国とインド太平洋経済枠組み(IPEF)の立ち上げ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(2022年5月24日記事参照)ことに合わせ、ホワイトハウスは同日、IPEFの趣旨や目的についてまとめたファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。米国の労働者や小規模事業経営者、牧場主がインド太平洋地域で競争力を保てるような道筋のルールを米国および同盟国が形成できるようにする枠組みだとしている。

ファクトシートでは「当該地域における米国の経済的リーダーシップの拡大は、域内の人々に加え、米国の労働者や企業にとっても良いこと」として、同枠組みが地域全体のみならず、米国にも恩恵をもたらすことが強調されている。また、「大統領が述べているように、インフレへの対処は経済面での最優先事項だが、この枠組みは、長期的にみればサプライチェーンを強靭化することでコストを下げ、消費者にとって価格高騰につながるような混乱からわれわれを守ることになる」とし、米国が抱える現下の課題に対処するための有効な枠組みとなり得ることを示唆している。

インド太平洋地域の今後の成長可能性については、同地域が世界人口のおよそ6割を占め、今後30年の世界的な成長に最も大きく貢献すると予測されているとした上で、地域における今後数十年間の成長が「各国政府が脆弱(ぜいじゃく)なサプライチェーンや汚職、タックスヘイブンといったさまざまな脅威から経済を守りつつ、イノベーション、特にクリーンエネルギー、デジタル、およびテクノロジー分野で進行中の変革を、どれだけうまく活用できるかにかかっている」としている。また、これまでの経済的結びつきはこれらに対処できていなかったことを強調し、同枠組みでは地域における経済的関与を深めるような高水準のコミットメントを確立するために、(1)つながりのある経済(Connected Economy)、(2)弾力性のある経済(Resilient Economy)、(3)クリーンな経済(Clean Economy)、そして(4)公平な経済(Fair Economy)の4つの柱(注)に焦点を当てるとしている。

(注)IPEFは、(1)公平で強靭(きょうじん)性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー、(4)税、反腐敗を4つの柱としている。ファクトシートで示された4つの柱はそれらと文言こそ違うものの、内容は対応したものとなっている。

(滝本慎一郎)

(米国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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