米家計の経済的満足度が2013年調査開始以来の最高を記録、FRB調査

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月24日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は5月23日、2021年米国世帯の経済状況および意思決定調査の報告書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。その中で、「経済的に快適に生活できている」との回答割合が調査開始以来で最高を記録したことを明らかにした。

調査は、家計の経済的幸福度と潜在的リスクを評価・特定する目的の下、2013年から開始されており、2021年は10~11月に1万1,000人の成人を対象に質問形式で実施された。

調査によると、「経済的に健全または快適に暮らしている」との回答は78%と、前年の75%から3ポイント上昇し、過去最高となった。人種別や教育水準別でみても、全てのグループにおいて前年より満足度は上昇しており、特に18歳未満の子供を持つ親世帯の満足度が前年の67%から75%へ急増した。特に低所得世帯で上昇が顕著で、報告書はバイデン政権のコロナ対策における児童税額控除の拡大により、対象世帯が拡大かつ毎月支給となったことが影響した可能性があるとしている。また、2021年秋ごろから対面授業が再開したことで職場復帰や勤務時間延長が可能となり、育児負担が軽減したことも例に挙げている。

現金の保有比率が高くなったことも示唆されている。「医療費や自然災害などにより少額の緊急出費(400ドル)が生じた場合、現金または現金相当物で賄える」とする割合は68%と過去最高を記録した。調査開始時は50%だった。

労働状況に関する質問では、労働者の15%が「1年前と違う仕事をしている」と回答、そのうち6割強は「転職に満足している」と回答している。また、完全在宅勤務者の割合は22%と、2020年の29%からは減少したものの引き続き高く、完全在宅勤務を続けている者のうち、「オフィスに戻ることを強制された場合、転職を検討する」との割合は55%だった。

調査によって、米国家計の健全性が実証的に裏付けられたかたちだが、調査の実施は2021年11月ごろで、その後のウクライナ情勢などを背景に長期化する物価高の家計への影響は完全に反映できていない可能性がある。実際に足元の小売業者の決算は低迷が続いており(2022年5月18日記事参照)、今後の家計の消費動向に注目が集まる。

(宮野慶太)

(米国)

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